現在、全国的にアカペラ活動がなかなか満足に出来ない状況ですが、2020年8月23日に「なまらアカペラ」という無観客アカペラライブが行われたことをご存じですか?
今回は「なまらアカペラ」の主催をされているけんもこさんに、この状況下で開催を決断した想いと、これからのアカペラライブについてZoomでインタビューをしてきました!
【 けんもこ さん 】
社会人になってからアカペラを始め、2019年からアカペラライブ「なまらアカペラ」を主催している。 / Twitter
【 わく 】
今回のインタビュアー。AJP編集部。学生編集部。
目次
そもそも「なまらアカペラ」とは?
AJP編集部のわくと申します、本日はどうぞよろしくお願いします!
早速ですが「なまらアカペラ」とはどのようなイベントなのですか?名前がとてもユニークで気になっていました。
わくさんこんにちは!
なまらアカペラは以下のようなライブです!
“生 ライブ アカペラ” を繋げた造語です。MCや演奏を通して、お客さんと出演者の垣根なく一緒に生の音楽を楽しみたいというコンセプトで立ち上げたライブです。身近なライブ規模だからこそできる一体感を楽しむことで、出演者とともに「アカペラ馬鹿」になれる空間を一緒に作りましょう!
なまらアカペラ 公式ホームページ https://namala.themedia.jp/
“なまら”というのは北海道の方言から来ているのだと思っていましたが、“生 ライブ”の略だったんですね!
「お客さんと出演者の垣根なく一緒に生の音楽を楽しみたいというコンセプト」とありますが、具体的にどのような特徴があるのですか?
なまらアカペラの特徴
「出演者が歌って楽しい」ことを最重要視していることから、なまらアカペラでは想定されるキャパよりも小さめの会場を使用しています。
あえて小さい会場を使用するんですか!?
会場は大きい方が演者もお客さんも盛り上がって楽しそうですが…!
小さめの会場にすることで演者とお客さんの距離が近くなるため、会場一体となって演奏を楽しめますし、何より盛り上がりやすいんですよ。
だからこそ、出演者もよりライブ感覚が味わえると考えています。
確かにそれはありますね!
他にも工夫されていることはありますか?
他には、出演される方々に寄り添ったライブ運営を心がけています。
そうなんですね!具体的にどういったことをされていますか?
第一に、対バンの演奏を聴いていただくようにお願いしています。
自分たちの出番以外は練習等ですべて席を外すといった考えの方もいらっしゃいますが、当ライブにおいては、特別な事情を除いての離席は基本的にはご遠慮いただいております。
もちろん強制はしておりませんが、みなさまこちらに気持ちよく協力いただけることがほとんどとなっており、会場にお客様を呼ぶ・呼ばないに関わらず、どのバンドも、多くの方が聞いている中で演奏を楽しむことができております。
あとは、気持ちよく歌っていただけるように、出演バンドには最初、真ん中、トリなどといった出演順の希望を取っており、基本的にその希望に合わせてタイムスケジュールを組んでいます。
また、思い出になるようにライブごとにフライヤーも作っています。
とても可愛らしいフライヤーですね!
毎回デザインも違っていて、丁寧に作られていますね。
はい、これもプロのイラストレーターに発注をして毎回書いてもらっています。コストを下げるために線画だけいただいて、残りのデザインは私で実施しています(笑)
他にも、「カメラマンを配置して高価な機材を使った録画等を提供する」など、他のライブではあまりやっていないようなことにも取り組んでいます。
確かに、これだけ良いカメラで撮ってもらえるのは嬉しいです。これに加えて、会場が常に満員の中で歌えるなら、出演したくなる気持ちもわかります(笑)
なまらアカペラを始めたきっかけ
何がきっかけでこのようなライブを始めようと思ったのですか?
私自身は黙っていても誘われるような上手なプレイヤーではなくて、恥ずかしながら、ライブに出たくても出られなくてくすぶっていた時期がありまして…(笑)
その時、同じようにライブは出たいけど誘われなかったり、サークルライブ審査で落ちつづけてしまって出られずに悲しんでいる人が多くいることを知ったんです。
そうなんですね..、社会人だけでなく学生サークルでも似た話を聞いたことがあります。
そういった方々が参加できるライブを作ろうと思ったことがきっかけです。
だからこそ、なまらアカペラは基本的に先着順というポリシーは今でも崩しておりません。
そのような想いがあったんですね、とても需要がありそうです。
実際に主催をしてみて反響はどうでしたか?
有り難いことにお客さんだけでなく出演者の方々からも好評で、リピーターも多く居るライブになっています。上に述べた初中級者だけでなく、今では大会などで活躍されているような方々にも出演希望をいただいております。もちろん、こちらも先着順で受付しています。
出演者に寄り添って運営されていることがちゃんと出演者に伝わっているのですね。
そして、ありがたいことに毎回満員で、入場制限になるようなこともありました。
「規模を大きくしないの?」と言われたことがありましたが、 開催当初のコンセプトを崩さずに一歩ずつできることを考えながら続けていけたらと思っています。
8/23に開催した「無観客ライブ」
ここ最近はライブ演奏はもちろんですが、全国的にアカペラ活動自体がなかなか満足にできない状況が続いております。なまらアカペラも予定していた4、5月のライブが中止になってしまったと聞いています。
そうですね、
残念ではありましたが中止という判断をさせてもらいました。
このご時世、仕方がないことですよね。
自粛ムードが漂い全国のアカペライベントが中止のお知らせをしている中、なまらアカペラは8月23日に無観客ライブを開催されましたよね!
そのときの想いを聞かせていただけますか。
ライブ開催の経緯については、出演者公募の際に添付した文章にまとめているのでご覧ください。主に
①ライブハウスを支援するため
②ライブの開催に向けてしっかりとジャッジをしていくという意思表示
③他のアカペライベンターがイベントを実施できるようにする前例づくり
をしたかったという想いがありました。
確かに今はライブハウスの経営も厳しいと聞きますし、誰かがライブを安全に開催する方法を模索していく必要はありますね。
まさにその通りです。
従来通りの活動が出来ないと諦めるだけでなく、その時々の状況と共存していくことが大切だと考えています。
感染防止のために行った対策
とはいえこのムードの中、ライブ開催を決断するのはとても勇気がいることだったともいます。より安全にライブを開催するために、具体的にどのような対策をされましたか?
・マスク・手洗い・消毒はもちろんのこと、演奏ごとに換気タイムを10分程度設ける。
・基本的に演者のマイクは使いまわさない。マイマイクを持参してもらうように依頼する。
・観客は演奏中ステージから前方3m以内には入らない(つば除け)
といった対応をしました。
私も当日ライブ配信を見ていたのですが、バンド間のMC(換気タイム)もその場ではなくGoogleMeet(オンライン会議ツール)を利用されていましたよね。
そうなんです。それも対策の一つでした。
ソーシャルディスタンス、マイクの使いまわし防止は想定できることですが、MCをGoogleMeetで行うというのは斬新でした。
実際にウィズコロナでのアカペラライブを開催してみて、どうでしたか?
オンラインライブが持つ可能性
開催してみて、以下のような可能性を感じました。
- ライブハウスが新しい生活様式と共存できる。
- 現地で歌うことに対する突破口が見えた。
- アーカイブが残ることで、より多くの人に見てもらえる。
特に3については、普段ライブに見に来られない地域にお住まいの方や時間的に見られなかった方でもライブを見ることができるということもあり、普段よりも非常に多くの方々に見てもらうことができました。
ただ、番組の作り方や全体放送時間の調整などについてなんですが、あとから視聴者数の推移などを振り返ってみると、
「インターネット配信だからこそ、従来のライブ進行形式にとらわれずに”番組”として構成を考え直した方がいい」ということもわかりました。
たしかに、オンラインになったことで時間や場所の制約がある程度はなくなりましたよね。
だからこそ、視聴者の見る場所や気分といったこともライブハウスとは異なるんでしょうか?
そうですね、ライブ配信だからこそ、ただただ放送するわけではなく、見てくれる人の状態を考える事も大事だということはわかりました。この発見は、ぜひ今後に生かしたいです。
今後多くのライブイベントが再開したとしても、オンライン配信の経験や技術は生きてくると思います。
アフターコロナになって多くのライブイベントが再開したとしてもオンライン配信の経験や技術は生きてくると思いますし、今の時期だからこそ新たなことにチャレンジしていくのも面白いかもしれませんね。
確かにコロナ禍はインプットを増やす時期だと言われたこともあります。新たな取り組みをする経験はアフターコロナ時代にも役に立つかもしれませんね。
今後のなまらアカペラの展望
自粛ムードの中、先陣を切って開催された「なまらアカペラ」ですが、今後はどのようにライブを続けていくご予定ですか。
今は社会の情勢を踏まえつつ、可能であれば前向きに開催していきたいと思っています。
なお、次回開催については未定ですが、出演希望があれば開催していきたいと思います。
いいですね!安全にライブ開催できた、という実例ができることで、様々なアカペラシンガーやイベンターのみなさんの背中を押すことが出来そうですね。
そうですね。その前例となれることを祈っています。
また、現在なまらアカペラでは当日スタッフをお手伝いいただける方を募集しております。社会人・学生を問わず一緒に楽しいライブをしたいというお気持ちがあれば結構です。気が向いた回だけの参加でokなので、興味がある方は、ぜひDMなどでご連絡いただけると嬉しいです。
なるほど、次回以降の開催を楽しみにしています!
今日は貴重なお話をありがとうございました。
インタビューについて
今回はアカペラライブ「なまらアカペラ」の主催者けんもこさんにインタビューいたしました。なまらアカペラの最新情報は以下よりご確認ください。
公式ホームページ
https://namala.themedia.jp
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