【5周年インタビュー】アカペラグループ「suisai」

【5周年インタビュー】アカペラグループ「suisai」

こんにちは!AJP編集部のわくです。

みなさんは、今年度で結成5周年を迎えた「suisai」というアカペラグループをご存じでしょうか?
今回は「suisai」の5周年を記念し、結成から今に至るまでの裏話や今後の展望をお聞きしてきました!

「suisai」とは

唯一無二の世界観と繊細なハーモニーで、「みえないものを、えがくようにうたう」6人組アカペラグループ。2019年6月には1st mini album「ユートリズム」をリリース。現在は2作目となるアルバムを製作中。HP各種サブスク

ゲスト

Komei

1991年生。ピアノ、男声合唱を経て筑波大学Doo-Wopでアカペラを開始。
所属グループ”suisai”ではベース・編曲・ディレクション等を担当。
各種講座やバンドクリニックを150回以上実施する等、指導者としても活躍。Twitter

2gou

1990年生。合唱(主に宗教曲)を経て筑波大学Doo-Wopにてアカペラを開始。
所属グループ”suisai”では作詞・作曲・アートワーク画・作詩などのクリエイティブを担当する。

始まりはセッションから

--メンバーは出身サークルも年齢も違っていると思うのですが、どのようなきっかけで集まったのですか?

2gou
2gou

2017年の春過ぎに、ぼくとKomeiがアカペラ活動で縁が合った人たちを集めて、1回試しに歌ってみるところから始まりました。

--最初はセッションのような形だったんですね!ちなみに、何という曲を歌ったんですか?

Komei
Komei

大橋トリオの「Colors」です。

--最初は「Colors」だったんですね!その時は、グループとして活動を続ける事を見越した上で集まったのですか?

Komei
Komei

メンバーによって解釈がバラバラだったと思うんですけど、集まる前に2gou君と「こういうことはやりたくないよね」という話をしていて、そのフィーリングが合えばグループとして動き出そうと思ってました。

--なるほどです!その、「こういうことはやりたくない」というのはどのようなことだったんですか?

2gou
2gou

外からの見え方として、「僕らじゃなきゃできないことをやりたい、僕らじゃなくてもできるようなことはやらなくていい」と思っていましたね。
声をかける時にもその点はしっかり意識していました。

Komei
Komei

だね。時間をかけて、自分たちだからこそ作れるものを真摯に突き詰めて行きたいというのはしっかり伝えました。

--最初のセッションで、その方向性が合ったからこそグループとして活動を始められたんですね。

Komei
Komei

そうですね、共通で同じ感覚を持っていることを確認できたからこそ動き出せた感じです。

--最初に方向性をすり合わせたことが、長く続けられている要因の一つになっているのかもしれないですね!

名前やコンセプトの由来は「響き」

--「suisai」というグループ名はいつ決まったんですか?

2gou
2gou

1回セッションした時に、僕が思っていたグループ名とは合致しない響きが出てきたので、皆に意見を聞いて、その時にEmiriから「suisai」の案が出ました。

Komei
Komei

Emiriはいつも重要な場面でいいことを言ってくれるよね笑。
視覚的な「描く」と、聴覚的な「歌う」が溶け合う体験は、アートの世界では、インスタレーションなどで盛んに行われているけど、アカペラでそういうことを表現するのは無かったので取り組み甲斐があると感じたよね。
そこで「みえないものを、えがくようにうたう」というコンセプトも生まれました。

--最初のセッションの響きから「suisai」というグループ名やコンセプトが生まれたんですね!

2gou
2gou

音にウソがなかったよね。セッションで、音から自然にコンセプトが生まれるという手応えを得られたのを覚えています。

--そこから活動を始めて、次に歌った曲は何でしたか?

Komei
Komei

最初のセッションで大橋トリオの「Colors」を歌って、次は「想像を超える日」、その次が「ばらの花」でした。
ただ、コンセプトが決まる前に2~3曲目まではすでに書いていました。

--そうだったんですね!今ではオリジナル曲のイメージも強いと思いますが、オリジナル曲を作ったのはいつ頃でしたか?

2gou
2gou

最初はカバーで1年くらいやって、オリジナル曲をやりはじめたのは2年目の2018年からです。

--最初のオリジナルソングは何という曲でしたか?

Komei
Komei

光る。」です!

イベント出演を通して見つめ直した「suisaiらしさ」

--今に至るまで、「Japan A Cappella Movement2018」や「カマクラ・アカペラ・サミット」など多くの大会やイベントに出演されていると思いますが、最初から大会への出演は考えていましたか?

Komei
Komei

出演自体が目的ではなくて、多くの人に自分たちの音楽を聴いてもらう手段として、大会が選択肢の一つでした。
だからこそ、大会で良い結果が出るような工夫をするというよりは、あくまで自分たちのコンセプトを崩さないという前提で、出させて頂けるのであれば歌わせて頂くという形でした。

2gou
2gou

その上で、自分たちの色とイベントの色を、どう反応させられるかというのも考えていましたね。

Komei
Komei

だね。そこが合わないと、お互い損してしまうので。

--大会にでることが目的ではなく、沢山の人に聞いてもらうための手段として。という考え、とても素敵です!
色々な大会に出ていく中で、活動の節目になるような出来事はありましたか?

Komei
Komei

JAM2018の周辺はぴりぴりしていましたね。良い順位で本選まで出させてもらったのですが、自分たちのパフォーマンスを突き詰める中で、音楽性がブレてしまったというか。
実際決勝までは残れなかったので、そこから改めて自分たちらしさを話し合って、活動を続けるかどうかを考えました。
その結果今は続けていますが、いわゆる解散の危機でしたね。

--周囲からの期待と、自分たちの作りたい音楽が合致するとは限らないですからね..

Komei
Komei

そうですね。審査員や大勢の聴衆にジャッジされることで、課題を見つけて見直す機会となったので、出て良かったと思っています。

2gou
2gou

その経験があったからこそ、年齢差とか、音楽経験の差、アカペラ歴の差とかを取っ払って、遠慮なく話し合える関係性を作ることができたと思います。
suisaiはsuisaiだ」ということを荒療治で見つめ直した時期でしたね。

--その経験をきっかけに何かしらの変化はありましたか?

2gou
2gou

よりバラバラになったなとは思います。
それまで、1つの方向性にみんなで走って行こうという感じでしたが、JAMを経て、一人一人が楽曲を自分事として考えるようになって。それを無理やりまとめるのではなく、ピンポイントでまとめるべきところだけまとめるディレクションに変わりました。

Komei
Komei

選曲についても、それまでは「suisai」というコンセプトを追いすぎている時期がありましたが、自分たちが良いと思ったものを選ぶようになりました。しがらみから開放されたような感じです。

オンライン作品の制作が中心となったコロナ禍

--コロナ禍に入り、活動に変化はありましたが?

Komei
Komei

地方にいるメンバーもいるので東京に来れないし、まずライブはできなくなりました。
ライブができない前提での活動になったので、オンラインやレコーディングを中心にやっていこうと決めて、急いで機材を買って、録音環境を整えましたね。
新曲を各自で準備して、機材が揃ったら録音して。

--コロナ禍に入った後、「mado」などの動画コンテンツの発信も早かったですよね。

mado#1 「水無月、水の月」 
Komei
Komei

もともと、ライブのMCを詩の朗読に切り替えるということはやっていましたが、音響効果も使いたいと思っていて。
対面ライブではPAに負担がかかるのでなかなか実現できなかったのですが、動画ならできるということで「mado」を始めました。

2gou
2gou

そのような形で作品を作れて、気は紛れましたね。
何もできないでいたら苦しかったと思います。バズりとかは特にしなかったけれど、アクティブでいられたのは良かったです。

Komei
Komei

今は「mado」も切りのいいところで終わって、新しい曲作りや企画を動かしています。
2ndアルバムの制作も進行中なのですが、「mado」を作った経験がすごく活きていて、曲の選び方とか流れを考えるのに役立っています。全部メインディッシュじゃだめで、サラダとかも必要だったり。
より俯瞰で楽曲を見るクセがついたのは良かったです。

結成から5年。今後の展望とは

--今年度で結成から5年ということですが、これからについて何か考えていることはありますか?

Komei
Komei

「suisai」の認知度がまだ低いことは何となく分かっているんですけど、アカペラ界に背を向けてはいけないと思うし、アカペラ界に何か還元したいという気持ちも持っています。
後は、ありがたいことに「suisai」の事を「好きです」と言ってくださる人もいるので、大事にしていきたいなとも思います。

2gou
2gou

自分は、メンバーのライフステージも変わって行くし、活動が加速する事もあれば止まる事もあると思うけど、自分たちでやめるという決断を下さなければ続いていくんだなという気持ちです。
これから年数を重ねて行くときに、このグループが歩んでいく道のりは、自ずと独自のものになっていくと思います。

--最初のテーマにもあった「自分たちだからできること」をこれからも続けていかれるんですね。

2gou
2gou

もっとアカペラでやれてないことをやらなきゃいけない。まだアカペラが融合できていない分野にどこまでタックルしていけるかが「suisai」にとっても大きな命題だと思っています。

Komei
Komei

アカペラがたどってきた音楽の文脈に対して、「suisai」がどんなことを追求できるのか。演劇とか朗読とか。新しい可能性に挑戦したいです。

おわりに

Komeiさん、2gouさん、取材にご協力いただきありがとうござました!

メンバーを集める段階から「自分たちだからこそできる事をやりたい」というテーマを決め、活動の幅が広がった今でもなお、ブレることなくその考えを一貫して持ち続けていることが、長くグループ活動を続けられている秘密なのではないかと感じました。これからも新しい可能性に挑戦していかれるとのことで、今後の「suisai」の広がりが楽しみです!

出演予定

アカペラグループ「suisai」は、9月24日(土)に行われる「カマクラ・アカペラ・サミット」に出演予定です。

「suisai」の素敵な演奏を、ぜひ生でお楽しみください!

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