【海外インタビュー】韓国のプロアカペラグループ「MayTree」

【海外インタビュー】韓国のプロアカペラグループ「MayTree」

こんにちは!AJP編集部です。

突然ですが、こちらの動画をご覧ください!

SNSでバズっていたので既にご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

このsound effectシリーズでは、日常に溢れるさまざまな効果音がアカペラで再現されています。「ああ、あの音ね!」と共感の念を抱いた方も多いのではないでしょうか?

巧みな歌唱技術とアレンジで、再現度高く演奏しているこのアカペラグループこそ、韓国のプロアカペラグループ「MayTree」!

今回はMayTreeの皆さんに、アカペラ活動に関することはもちろん、sound effectシリーズの裏話や新曲「What if(somebody told you)」に関することなど、たっぷりお話を伺ってきました!

MayTreeとは

左から、ウォンジョン(Bass)、スヨン(Soprano)、ヨンフン(Tenor)、
スギョン(Alto)、サンイン(High Tenor&Vocal Percussion)

MayTreeは韓国を代表する混声5人のアカペラグループ。2000年に社会人サークルのメンバーにより結成され、2014年、オーストリア・グラーツで開催された世界的なアカペラコンクール「vokal.total」で「ジャズ」「ポップコーラス」両部門で金メダルを受賞しています。

過去にはスウェーデン出身の世界的なアカペラグループ「The Real Group」のコンサートにおいて前座を務めたことも。また以下のように、日本との親交も深いことが特徴です。

  • 2009年、日本のプロアカペラグループ「Permanent Fish」とのジョイントコンサート開催
  • 2011年、「金沢アカペラタウン」にゲスト出演
  • 2018年、映画『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のエンディング主題歌「ようらんか」への参加

また、SNSでもその勢いは止まりません!TikTokで数多くのアカペラ動画を投稿しており、なんと現在のフォロワーは100万人以上!これからの活躍に目が離せないアカペラグループです。

MayTreeにインタビュー!

社会人サークルで「プロになりたい」というメンバーを集めて結成

ーー本日はよろしくお願いいたします!皆さんは韓国の社会人サークル出身とのことですが、どのような経緯で結成されたのでしょうか?

スギョンさん:韓国には4大アカペラサークルがあるのですが、1997年、そのうちの一つである「Gigahitz」をサンインが立ち上げたんです。のちに、サークル内でプロ志向の熱意あるメンバーを集め、MayTreeとして活動を始めました。

サンインさん:もともとアカペラが大好きで、いつかはアカペラを職業として楽しく活動していきたいと思い、結成するに至りました。

ーーそうなんですね。YouTubeなどを拝見して、幅広いジャンルの楽曲を歌われているなと感じたのですが、何か活動コンセプトのようなものはあるのでしょうか。

スギョンさん:特にコンセプトはなく、アカペラが好きな仲間が集まって、音楽を上手になりたいという熱意を持ち、自然な音楽を追求しています。そして、その先に、聴いてくれる人たちに何か伝えられれば、という想いがありますね。

ーーなるほど。皆さんの音源を聴いたのは今回が初めてだったのですが、聴いていて気分が明るくなるような歌声でした!ちなみに、プロアカペラグループの中には、曲によって楽器を取り入れているグループもあるようですが、MayTreeの皆さんは「アカペラ」という演奏形態にこだわりをお持ちなのでしょうか?

サンインさん:そうですね。自分たちを最も上手く魅せられる方法がアカペラだと思っています。楽器に頼らず、自分たちの声だけで表現していこうと考え、アカペラのみで演奏しています。

ウォンジョンさん:そういう意味では、アカペラに出会えたことは運命だと思っています!

900万回以上再生された「Sound Effect」シリーズ」の裏話

ーー先日、皆さんが公開した「Sound Effect」シリーズの動画がSNSで大きな話題となりました。こちらの作品はどういったきっかけで制作を始めたのでしょうか?

スギョンさん:普段アカペラで歌っている分、楽器の音を声で表すことにはもともと興味があり、いつかは効果音もアカペラで表現するだろうと思っていました。最近になって、プロデューサーに提案されたのでチャレンジしたところ、SNSでたくさんの方に観てもらうことができました!

ーーそうだったんですね。聴いていて「とても難しそうだな」という印象を持ったのですが、収録する上で特に大変だったところはありますか?

MayTreeの皆さん:とにかく、聴き手の共感ポイントを把握することを重視して練習しました。だからこそ多くの方に見ていただけたのかなと思います。最初はこんなに反応があるとは思ってもいませんでしたが…!元々はメンバーのスギョンのみがアレンジを担当していましたが、最近ではメンバー同士でアイデアを出し合い、それらを元にみんなで採譜しています。

スギョンさん:正直自分たちで聴いても、声なのか機械の音なのかがわからないときもあります(笑)

ーーそうですよね。どの動画も大変再現度が高く、私たちも「本当に声だけなの!?」と驚かされました。他の動画でも洗練されたハーモニーが印象的でしたが、普段の練習方法についてもお伺いしたいです。

サンインさん:コロナ禍になる前は皆さんと同じように、特に変わったことはせず、発声練習や楽譜を見ながら一緒に歌う練習をしていました。ですが、コロナ禍に入ってからはステージ演奏の機会がなかったので、普段の練習に加え、映像編集や音源編集にも力を入れるようになりました。メンバー個人でも編集方法を研究するようになりましたね。結果的に、動画を通じていろいろな国のファンと出会うことができました。また、アフターコロナではオフラインとオンラインの2つでステージができると考えています。これからが忙しくなりそうですが、一方で楽しみでもありますね。

ーーたしかに、日本でも新たに「リモートアカペラ」という非対面形式のアカペラが増えましたが、ステージで演奏するアカペラが完全になくなったわけではないですよね。「表現できる場が増えた」というポジティブな捉え方は素晴らしいと思いました。

日本のアカペラとの関わり

ーー2009年に日本のプロアカペラグループ「Permanent Fish」とジョイントコンサートを開催されたと伺っています。その時のエピソードなどがあれば教えてください!(※2009年、Permanent Fishが「第17回大韓民国文化芸能大賞外国芸能人賞」を受賞。その後にジョイントコンサートが開催された。)

サンインさん:一緒にコンサートに出られたのは嬉しかったです!でも、残念だったのは、コンサートでは各々のグループが歌うだけで、一緒に曲を演奏できなかったことです。次の機会はぜひ一緒に歌いたいですね。また、コンサート後の打ち上げで、Permanent Fishのメンバーを喜ばせようと韓国料理屋に連れて行ったのですが、辛いものばかりで苦しそうにしていましたね…(笑)日本人の食の好みを知っておけばよかったと思いました。

ーーそうだったんですね。たしかに本場の韓国料理は辛いものが多そうです(笑)その後、2011年の「金沢アカペラタウン」にはゲストとして出演されたとのことですが、日本のアカペラにはどういった印象をお持ちでしょうか?

サンインさん:演奏されている音とアレンジが繊細で、細かいこだわりがあると感じています。韓国にはないスタイルです。また、日本の社会においてのアカペラの認知度は韓国よりも高いと思います!日本のプロアカペラグループ(「ゴスペラーズ」や「RAG FAIR」など)は音楽チャートの上位にランクインしていますが、韓国のアカペラグループはチャート100位以内に入ったことはありません。韓国国内でアカペラを知ってもらえるように、もっと頑張りたいと思います!

プライベートでもアカペラへの熱い想いを共有

ーーちなみに、プライベートでもメンバー同士で交流することはあるのでしょうか?

スギョンさん:コロナ禍前は日々コンサートがあったので、メンバーと一緒に旅行に行ったりすることはありませんでしたが、コンサートの打ち上げでお酒を交えながら、当日の演奏を振り返ることが多かったですね。もちろん、酔うと話せないこともあるので、しらふで真面目な話をすることもありますよ!とは言っても、男性メンバーはお酒が大好きなんです。夜通し飲みながら熱く語り合っています。2~5次会まで果てしなく飲むこともありました(笑)そうやって語り合うことで、音楽性だけではなく、お互いの人間性や好みを知ることを大切にしています。

新曲「What if (somebody told you) 」について

ーー先日リリースされた「What if (somebody told you) 」の制作背景についてもぜひ教えてください!

サンインさん:コロナ禍を経験して、韓国だけで活動するには限界が来たと感じています。他の国の人にも知ってもらいたいし、アフターコロナでは世界で活躍したいです。そのため、英語の曲をレパートリーとして持っているべきだと思いました。そこで、私たちと親交の深いアンドレア・フィガロさん(イギリスのアカペラグループ「The Flying Pickets」のメンバー)、亀井淳子さん(日本のアカペラグループ「宝船」のメンバー)に、それぞれ作編曲と作詞をお願いすることになりました。ちなみに、メンバー以外が楽曲制作を担当したのは今回が初めてでした。

ーー楽曲を制作してもらうにあたり、どういった依頼をされたのでしょうか?

ウォンジョンさん:アンドレアさんに伝えたのは「ソロパートが誰なのか」と「メンバーの音域」だけです。もともと彼とは親交が深く、MayTreeメンバーの特徴をよく理解してくれていたので、作りやすかったみたいです。

スギョンさん:自分たち以外の人が作ったものを歌うことは正直難しく、わからないところもありました。ですが、新たな挑戦であると捉え、彼に全てを任せたことで、ヨーロッパと韓国のアカペラの違いもわかりましたし、勉強になりました。今後の音楽制作にもつなげていきたいと思っています。

ーーそうなんですね。曲が素晴らしいのはもちろん、歌詞のメッセージにあわせて語りかけるような皆さんの歌声がとても素敵でした。歌う上で「こういった人に向けて歌いたい」といったお気持ちはありましたか?

スギョンさん:私は、自分自身に問いかける気持ちで歌いました。

サンインさん:コロナ禍でみんな落ち込んでいるし、中には鬱々としてしまう人もいるかもしれません。けれど、この曲の歌詞には「今が一番幸せ」というメッセージが込められています。それを世界にいる皆さんに届けたいです。

MayTreeからのメッセージ

ーー私たちAJP編集部のメンバーも、各々の活動の中で様々なジャンルのアカペラを歌うことがあります。皆さんが普段どういったことを意識して歌っているのかをお伺いしたいです!

サンインさん:歌う中で親密度が増してきているかどうかを意識することで、良いハーモニーが生まれることにつながると思っています。

ウォンジョンさん:声の魅力を最大限伝えるにはどうすれば良いかを意識しています。

スギョンさん:「毎日アカペラを歌う自分たちにとってはそこまで新鮮に感じないけれど、聞き手にとっては常に不思議に思ってもらえる」ような演奏を意識しています。

ーーありがとうございます。最後に、学生の方など、アカペラをまだ始めたばかりの方にメッセージがあればお願いします!

ヨンフンさん:私は最近大学を卒業したばかりなのですが、MayTreeに入ってからいろいろな音楽を聴くようになりました。みなさんも、いろいろな音楽を聴いて、自分たちが出せるカラーを追求していってほしいと思います!

ーー本日はありがとうございました!

MayTreeが日本のテレビ番組に出演!

なんと、今回インタビューに答えてくれたMayTreeのみなさんが日本のテレビ番組に出演されるとのことです!

  • 放送局:毎日放送(TBS系列)
  • 番組名:「サタデープラス
  • 放送日時:4月10日(土)8:00〜

この機会に、ぜひMayTreeの歌声に耳を傾けてみてください!

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