韻を踏む=複数の言葉の母音を合わせてリズムを作る技法です。
国語の授業で習った漢詩は末尾の母音が綺麗に揃っていたし、英語も言語構造として自然に韻を踏める仕様です。
目次
陳腐にならず、日本語で韻を踏む戦法
一方日本語は文法や語順から、漢詩や英語のように韻を踏むのが難しい言語。
しかし1980年代にいとうせいこうさんらが日本語ラップを始めて以来日本語の韻が研究され、今は一般的にも基本的な踏み方が浸透したと言っていいでしょう。
試しに「アカペラ」という言葉でいくつか韻を踏んでみます。
母音が「aaea」となる言葉を探して上手く意味を繋げば作文できます。
集う仲間が歌を奏でた
響くハモりはマイナーからメジャー
リズムキープも忘れちゃだめさ
日本語ラップの歌詞で有名なのが、大御所RHYMESTERの「ザ・グレート・アマチュアリズム」の中の「スッゲー敷居低い歌唱法」というヤバい1節。
その通り言葉遊びで気軽に歌詞が作れるので、実は作曲初心者に優しいんです。
では次に紹介するのはプロラッパーの”マジ韻“です。
ビックリ!!スターの押韻は凄まじい
♪タンポポ feat. ZORN / KREVA
↑(YouTubeの)説明欄に載っている歌詞を見ながらご覧下さい。
1曲を通して怒涛の韻の連なり!!
体言止め、倒置法、比喩、アナグラム、造語、略語、英語を混ぜる、単語の途中から踏む、譜割りの調整…など、あらゆる技を使って踏んでいます(初見じゃ理解が追いつかない…)。
♪スタート / KREVA
↑こちらはただ韻を踏むだけではなく、踏むことで物語の切なさを鮮やかに演出しています(激アツ)。
ラッパーは脳内に豊富な韻の引き出しがあり、中でもラップバトルで名を売ったラッパーは即興で韻を踏むことができます。
R-指定さん(Creepy Nuts)@カップスター・和ラー 乃木坂毎月劇場
↑14:00〜の「お題をもらって即興ラップ」が見ものです。
もらったお題を組み込むだけでなく、そのワードや前後の文脈で更に韻を踏んでいて本当に見事です。
“Sing”に落とし込んだ手法〜J-POPでも韻が光る〜
もちろんラッパーでなくてもしっかり韻を踏むアーティストや曲は存在します。
個人的に近年で代表的だと思う“韻アーティスト”としてヒゲダンを紹介します。
♪ノーダウト / Official髭男dism
↑字幕をオンにして歌詞を見ながら聴くと、ポイントポイントで末尾の母音をきっちり揃えているのがわかります。
しかし藤原さんマジでキー高いな…。
アカペラ界ではもちろんゴスペラーズの酒井さん!
♪VOXers / ゴスペラーズ
↑「いろは」もそうでしたが、この「VOXers」も節々にしっかりライミングが組み込まれていて、ラップ好きとしてもアガります!!
“響く韻”を上手に活かす工夫をアカペラアレンジにもまぶせ!!
♪つれてってよ / lyrical school
↑こちら、よく聴くと韻を踏む単語でメンバーの声を重ねて強調しています(=”被せ”)。
エコー(追っかけ)で強調している所もありますね。
アカペラアレンジでも、(それこそ「いろは」のように)韻の部分にユニゾンやハモりを付けて強調できるはずです。
僕も結構見つけたら取り入れてますね!!
チープにまとめてみたよ^^;
たまに思うんですが、僕がラップを聴き始めたのは大学生の時だったので、もっと前から聴いていれば国語や英語の成績も伸びていたと…(^.^;
とにかく音楽を聴く楽しみが増えるので、ぜひ歌詞の韻に注目してみましょう!!
“いい踏み方”を聴き取る〜韻の”布教活動”〜
P.S. 余談としてもう一曲ラップを紹介したいのですが、韻を極めたラッパーの歌詞はとにかくアクロバティックで、一般に全部は伝わりにくいレベルに達していますよ!!
♪The Skilled feat. LITTLE &FORK / 餓鬼レンジャー
だからラップ好きとしては”説明したい欲”に駆られるのですが、今回これを書いていて個人的に気付いたのが、高度な韻の布教には著作権の壁があると^_^;
本当は歌詞を書き出して、韻を踏む所に色を付けて…みたいな画像付きの記事を書きたいのですが、多分それはアウト(-_-;)
アーティストを守るためとはいえ、面倒な世界ですよね〜(あークソー!!)。
(おわかりいただけただろうか…?)
自己紹介が遅くなって申し訳ありません!らたと申します。ここまで長文を読んでくださってありがとうございました!!
さて今回の記事、文体に違和感を持った方もいるのではないでしょうか。
そうなんです!実は上記の見出し・本文の中でも韻を踏んでいました。答えは↓こちらのファイルをダウンロードしてご覧ください!!
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