アカペラの世界は崩壊した

アカペラの世界は崩壊した

2020年も残りわずかとなりました。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

昨年に引き続き今年もこちらで記事を書かせていただくこととなりました、しょーぞーと申します。どういう人間かというのは昨年の記事「次生まれ変わったらイケメンになってアカペラ使ってモテたい」を見ていただけたら大体察しがつくと思います。端的にいうとアカペラ使ってどうにかモテたい男です。なお今年一年全くモテなかったです。この世に神なんていない!昨年の記事

はてさて、今年もアカペラアドベントカレンダーをやるよー、という呼びかけがありました。あーそういやそんな企画あったなー、なにもネタないけど応募してみようかしらうふふ…なんて見切り発車で参加したところ、おそらく本企画では偉いポジションである吉田くんから

「あ、しょーぞーさんは今年もトリで」

と言われました。この人狂ってる。あたい知ってるんだからね!みんなどうしようも無い記事書くだろうとたかを括って去年油断してたらみんなめっちゃいい事ばっかり書いてて恥晒したのよ!それもクリスマスに!今年もどうせ可哀想な人扱いされるんでしょ!ぷんぷん!…まて、今年もトリはクリスマスじゃねぇか。この世に神なんていない!

ということで本日でこの企画もラストとなりますがしばしお付き合いいただければ幸いです。なおここから先は多分に僕の偏見が盛り込まれていますので、読まれる際には「何言ってんだこいつ」視点だけはどうか保ってください。あと基本的には20~30代向けに作ってます。よし、こんだけ予防線張ったから大丈夫だろ。うん、好き勝手に書くぞ!それではよーいスタート。

僕の知ってるアカペラと違う

社会人になって数年経ち、コロナに限らずいよいよアカペラから遠ざかってしまった僕は、ある日、昔を懐かしむかのようにTwitterでアカペラ動画を探していたところ一つの動画を見つけました。それがこちら。

(けんとくん許可ありがとう!)

僕の知ってるアカペラと違う。

アカペラってこう、みんな棒立ちだったりもっさりした格好してたり、意味のない振り付けとか踊って自己満足に浸ってる系なんじゃないの?もっとサブカルっぽいというかオタクっぽいというか。

なのにこの動画で歌ってるみなさんはみんなキラキラしててカッコいい。垢抜けてるとかそんな生易しいもんじゃない。しかもプロのMVのような映像構成。それに歌がとっても上手。レコーディングもミキシングも凄い。正直震えた。

昔から歌うまいやつは世の中にごろごろいました。でもどことなく地味で冴えないやつが多かったように思います。あの、ゴスペラーズの終わらない世界のベースソロでキャーキャーいわれてるやつとか冷静にみたらちっともかっこよくないもんな。

そんな中で女子にもててる人間は総じて見た目もかっこよかったし、人としてもできてた。ごくごく一握りのそういった存在が僕に劣等感を植え付け悲しいモンスターにさせたんです。ちくしょう、イケメンたちめ。足の裏に変なイボイボとかできればいいのに。

それが、この動画みたらかっちょいいのが6人でやってきやがった。

これはもう、革命ですよ。10年前にこんな人たちいなかったもん!歌がうまくてかっこよくてって、お前らアイドルかよ。今のアカペラシーンではもうこういう存在が当たり前のようにはびこってるんですね。というか彼らに限らず、最近SNSを通して知ったアカペラやってる人は総じて美男美女よ。かつていたあの地味なやつらはいったいどこへ消えた?

その辺の石ころでもダイヤモンドになれる、やさしい世界。

僕の知ってるアカペラというと、やっぱり自分がアカペラと出会った13年前にさかのぼります。

2007年、僕が大学進学と同時に入部したアカペラサークルは、MARCHの中でもオシャレと名高い立教大学に存在しました。いろんなタイミングが重なって大して興味もないアカペラを始めたわけですが、入部したのは立教とは思えないくらいもっさりしたサークルでした。

当時はハモネプが一旦終わってアカペラなんて下火も下火。結局その年にハモネプが復活して再度全国的に知れ渡ったり、その数年後に藤井ちゃんが頑張ってアカスピ作ったりして大きなうねりを作るんですが、そのちょっと前となるとすごいマニアックなジャンルだったと記憶しています。

サークルの先輩も別に華やかなイメージはなく、よく言えばおとなしく控えめな風貌、悪く言やぁめっちゃ地味な人たちの集まりでした。大学に馴染めない人たちの最後の駆け込み寺とか難民キャンプみたいな言われ方してた。

僕が特にお世話になった先輩はお父さんみたいなトレーナーにセンター分けできったねぇメガネかけてるおっさんでした。何かにつけて縦社会を重んじるおっさんで「先輩より早く来るのが後輩の勤めだ!」っていうから集合時間の10分前に行ったら先輩はさらにその10分前に待ち構えてて烈火の如く怒られる、そういう先輩。世の中の理不尽に対する耐性はあれでついたようなもんです。

ところがこのよれよれトレーナーのおっさんはサークルの中でも随一のパーカッションを打つことができて、コーラスもできるしアレンジもできるしPAだってできちゃう、始めたての僕には神にも等しい存在でした。

「しょーぞー、パーカスっていうのはみんなを支える土台なんだ。みんなが走ってたら俺が手綱を握るし、ピッチが上がっていったらそれに合わせてスネアの音も上げる。パーカッションだってハーモニーを作るんだ」

なにそれすげえかっこいい。その割によれよれトレーナーが一番走ってたんですけど妙な説得力がありました。このよれよれトレーナー、サークルでは一目置かれる人物で、厳しくも頼もしい、昭和のおっさんでした。

よれよれトレーナーのおっさん以外にも、ボサボサ頭のジャージ姿でキャンパスを闊歩するおっさんやオシャレを履き違えてイキったハットを被るおっさんが沢山いました。おっさんばっかだな。言うて僕も大学デビューを履き違えて売れないホストみたいなヘビ柄のシャツ着てウロウロしてたんでこの勝負は痛み分けなんですけど、総じて言えるのは全員地味でもっさりしてました。華がなかったと思う。

ところがよれよれトレーナーだってボサボサジャージだって一度ステージに立ったらめっちゃ輝けるんですよね。人前に立ったら鳥肌立つくらい上手かった。そしてキャーキャー言われてた。え、あんなんでキャーキャー言われんの?と思ってたんですが不思議なもんでかっこよく見えるんですな。棒立ちでもね。浴衣着れば三割増しで美人に見える的な。少なくとも当時は、アカペラって世界は地味な奴でもダサいやつでも十分目立てる場所でした。その辺の石ころでもダイヤモンドになれる、やさしい世界。

今のこのアカペラシーンでその石ころたちはダイヤモンドになれるんでしょうか。

さて、冒頭の動画に話は戻るんですけど、今のこのアカペラシーンでその石ころたちはダイヤモンドになれるんでしょうか。少なくとも僕が彼らと同じことしたってこんなキラキラしない。なんか人間として違うもんね、新幹線とみかんくらい違うわ。まぁ僕はともかくとして今のアカペラシーンは、ただ歌がうまいだけでは戦えないところにきてしまっているのではないでしょうか。

この動画を見て真っ先に思ったのは

「ビジュアルと歌唱力がめっちゃマッチしてるぅ!」

でした。ただ歌がうまいだけじゃなくてパフォーマンスとか編集とかそしてなにより当人たちの魅力とか、結構重要だよなぁって改めて痛感しました。

例えばこの動画を、アカペラもなにも知らない人が見たとして自然に受け入れるだろうし憧れる人も出てくると思うんですよね。アカペラ?うわぁなんか特殊〜、とは絶対にならない。むしろ「こんな表現あるんだすごい!」になると思う。以前だってそういう風に言われてましたけどより受け入れやすく見えやすいような工夫が散りばめられてると思います。それを可能にしてるのはやっぱり個々の魅力よね。

勘違いしてほしくないのは「不細工は歌うな」なんて全く思っていません。むしろイケメンたちを全員血祭りにあげて安寧の帝国を築きたい。

単純にアカペラという世界が成熟してきたんだぁって思っているだけです。

というのも、以前はやっぱり世間の認知が低くて、本当にアカペラが好きな人とかめっちゃ詳しい人とか若干オタク気質な人しかいなかったと思うし、そういうアカペラという手法に魅了された人たちがマジョリティーだった気がするんですよね。手法そのものに重きを置いていて、ハーモニーとか音楽性を追究しすぎるきらいがあったと思う。そんなに視覚的要素にこだわってなかったと思うんですよ。ああ、取ってつけたような衣装とか振り付けとかはこだわりとは違いますからね、念のため。

ところがSNSの発展やyoutubeのブームも追い風になって、今やどんな人でも興味を持てるしアカペラへの入り口も今まで以上にハードルが低くなったように思います。突き詰めると沼だとは知らずにね・・・。そうなると、見た目にも魅力的な人が今後もどんどんアカペラを好きになってくだろうし、いろんな技術を習得して歌もどんどんうまくなっていくんでしょうね。

この、ビジュアルと歌唱力が釣り合って高く評価されるというのもまた健全な在り方だと思うわけです。音楽で飯食ってる人って総じてルックスも伴ってるやん?やっぱそれって当たり前のことだよなぁ。

あーだこーだ言ったけど、きっと今バズってたり目立ってたりする人たちは僕が想像もできないくらい歌に対しても見てくれる人に対しても研究してるだろうし、見られるということにこだわって自分磨きをしてるに違いないのだから。それはわかるんだけどイケメンが歌うまくて笑いもとったりしたら僕いよいよどうしようもないんですけどどうしたら救われますか?

なので、僕みたいな古臭くも懐かしい時代を知る人間よ、アカペラで今から勝負するなら相当頑張らないといけないぞ。コロナ禍でなし崩し的に練習できなくなってはいるけど、その間にもやってるやつは自己研鑽してるし、よりいいものを作り続けている。ちやほやされたり目立ったりしたいのであれば歌以外の表現も真剣に考えていかなければいけない。

どこかサブカルチャーだったアカペラは完全に崩壊した

コロナ禍でアカペラの活動ができなくてフラストレーションがたまってることと思います。リモート演奏がはかどらずやきもきしている人も多いと思います。あんだけ一緒にやってた仲間と会えなくて寂しさも感じていることでしょう。確かに今年、アカペラの世界は崩壊したかのように思えました。

しかしながら僕に言わせればアカペラの世界が崩壊したのはもうちょっと前で、明確にはわかりませんが、決してメインストリームに乗ることができずどこかサブカルチャーだったアカペラはもはや完全に崩壊したと思っています。

アカペラってどんどんかっこよくなっていってるし今の時代だからこそこれまでにない見せ方ができると思っています。崩壊の後には必ず創造がやってきますから、今のうちにめっちゃレベルアップしようぜ!やることまだまだたくさんあるもんな!歌ももっと上手くなれるし音楽も勉強できるし編集技術や見せ方だっていくらでも突き詰めれるさ!僕は整形したい!

それに気づかせてくれたけんとくんの動画、そして歌ってた皆さん本当にありがとうございました。

一方で、よれよれトレーナーが輝きを放っていたあの世界も、たまには戻りたいなぁ、なぁんてね・・・。

ということで今年も駄文撒き散らしてやったぜ!来年のアドベントカレンダー書くときにはもっと幸せに包まれてぇなぁ。

それではまた来年!生き急げ!!

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