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【インタビュー】学園祭からハモネプ出場、そしてデビューへ こだわり抜いた先にあるLimerickのアカペラ

インタビュー

この度、東京大学のアカペラサークルLaVoce所属のLimerickがユニバーサルミュージックよりデビューが決定!
世界的大ヒット4曲の洋楽をアカペラカバーした1st EP「The First Touch」も配信中です。

2021年冬に開催されたハモネプで魅せたおしゃれすぎるアカペラ。新感覚の洋楽カバーに心奪われた人も多いのではないでしょうか。私たちを魅了するハーモニーに込められた5人の想いとは。

今、アカペラ界を賑わすLimerickにとことん聞いて来ました!

(Limerick▶︎左から、Shun[ボイスパーカッション]、Lina[ファーストコーラス]、Shin-shin[ベース]、Mona[リードボーカル]、Choku[セカンドコーラス])

デビューのきっかけはハモネプ「bad guy」

Q.改めまして、デビューおめでとうございます!今回のEPリリースについての経緯を教えてください。

Lina:ありがとうございます!
私たちが出演したハモネプで披露した「bad guy」をユニバーサルミュージックの方が見てくださっていたことがきっかけでした。一緒に楽曲を出しませんか、とお話をいただいて実現しました。

Q.そのときのお気持ちはいかがでしたか?

Lina:信じられなかったです。

Mona:皆、びっくりして興奮していました(笑)。

Choku:最初は所属サークルを経由して連絡をいただきました。「まじか!」と思い、確認したら本当で…。まさかこんな声が掛かるなんて思ってもみなかったのでびっくりしつつも、わくわくしていました!

Q.そうだったんですね。皆さんの周りの方々から反響はありましたか?

Lina:そうですね。サークルの先輩、後輩、同輩も「おめでとう」と温かい言葉をくれました。早速、配信された曲をたくさん聴いてくれているみたいで本当に嬉しいです。

「The First Touch」に観るLimerickの超絶アレンジ

Q.今回のEPに収録されている曲はどのような想いを込めて作成されたのでしょうか?

Mona:「Peaches」は「ジャスティンビーバー」の最近の曲です。私とLinaとChokuの3人がそれぞれリードを歌っています。個性や違いを聴いていただければ嬉しいです。また、普段はボイパのShunも歌う箇所があるので、そこにも注目してください!
原曲のアコースティックライブバージョンを聴いてインスピレーションをもらい、アレンジはR&B風にしました。コードを見るとポップス系よりもジャズ・バラード風の方が良いと思ったので、原曲よりも遅いテンポになっています!

「bad guy」はハモネプで披露したものです。私が個人的に「ビリーアイリッシュ」のファンなので、彼女の独特な世界観を出せるように工夫し、これを聴いたら「bad guy」だとわかるモチーフも間奏に入れました。ジャズの部分とか、最後ボルテージが最高潮になる部分とかはChokuがアレンジしてくれたよね。

Choku:曲としては単調で盛り上がりのない曲なので、テンポ感やリズム感をどのように(アレンジの中に)活かせるかを重要視しました。ハモネプの2分間という短い時間でいかに楽しませるかを考えたときにジャズ風アレンジを思いつきましたね。全体的にリズムで動きまくって盛り上げていく仕上がりで、良いものになったと思います!

ーあの時間の中でどんどん雰囲気が変わっていく動きが本当に魅力的ですよね。

Limerick:ありがとうございます!

Mona:「bad guy」はとにかくいろいろな展開を入れたいと思っていました。私は一番最後のボイパの部分も盛り上がりがとても好きです!

学園祭からハモネプ出場、そしてデビューへ

Q.Limerick結成の経緯を教えてください。

Choku:もともと僕とMonaがお互いに一緒に歌いたいと思っていました。僕が洋楽をやってみたくて、それならMonaと歌うのが一番いいな、と。Monaも僕に(一緒にやろうと)声をかけてくれて、そこから始まりました。
最初は、学園祭に出るための企画バンドという軽いノリで集まって「The Real Group」の「Words」をカバーしました。それが楽しくて、3か月後の合宿でまた同じメンバーで歌いました。その後も本格的に続けていくことになって、Limerickができあがった感じですね。

Q.「Limerick」というバンド名の由来はなんですか?

Lina:バンド名は結構悩みました。最初は「The Real Group」のカバーをしてたので、もじって「The Real Groove」にしていたんです。ハモネプエントリーを機にオリジナルのバンド名を考えました。大抵のバンドが6人編成ですが、私たちは5人なので5にまつわる言葉にしようと探していくなかでChokuが「五行詩」を意味する「Limerick」という単語を見つけてくれて。
五行詩のイメージが、それぞれ個性のある5人のメンバーが集まっているというのに重なるなと思ったのと、響きも良いと思って「Limerick」になりました!

Q.これまでどのくらいの期間、活動してきたのでしょうか?

Choku:学園祭に向けて集まったのが2019年の9月、合宿が翌年の2月でしたが、3月からコロナの影響を受けるようになったので半年ぐらい何もしていなかったです……。

Q.ああ……そうだったんですね。では、そこから「ハモネプに出よう!」と思ったのはなぜですか?

Choku:具体的な活動ができていなかったなかでのチャレンジでした。また、本大会のコンセプトが大学対抗戦で、LaVoceはインカレサークルなので他大生と組んでいるバンドも多いのですが、僕たちはたまたま東大生だけで組んでいたので、「せっかくだし出してみよう!」ということになりました。

メンバー全員で磨いていくアカペラ

Q.普段はどのように練習されていますか?

Lina:コロナ禍に入って以来、対面練習は全くできない状況になってしまいましたが、それでも何かはしたいよねと話していて、リモートで練習することにしました。ガレージバンド(楽曲制作ソフト)などを使って個別に録音したものを合成し、その音を聴いてみて改善点を見つけていく作業をしています。
演奏面では「ここの歌い方揃ってなかったね」とか「ここのクレシェンド、もうちょっと揃えよう」などと意見を出したり、アレンジについても「ここ思ってたのと違う」とか「もうちょっとダイナミクスがあった方がいいかな」とかがあれば直したりしています。

Q.そうした練習は手間がかかるとは思いますが、対面での練習と比べて何か良かった点はありますか?

Lina:(自分の声だけを録音した音源を)バンドメンバーの皆に聴かせることになるので、自分として納得いかないところがあれば何回でも録り直したくなります。
そういう意味では、対面で練習しているときよりもさらに、「自分の歌う部分のクオリティを追求しないと」という意識が芽生えるようになったと思います。

Shin-shin:自分も、自分の音をよく聴くようになりました。対面練習は合わせて満足してしまう部分がありましたが、録音して聴くことで思っていたのと違うなと感じることは結構あって。
どうすればもっと良くなるかを普段から考える意識を持つようになったと思います。

Q.音源のみの練習と対面での練習を比較して、歌っている際に違いはありますか?

Choku:対面で歌うときにはベースとボイパがいてくれるのが大きいです。逆にベースとボイパの2人は周りでコーラスが歌っていないのによく一人で録れるなって思います。それに関してはどうなんだろう?

Shun:そうだね。ボイパは、録音するときはメトロノームに合わせれば良いですが、やっぱりリードやコーラス、ベースと合わせるのがアカペラの魅力だと思います。
長い間リモートでしかやってこなくて久しぶりに会って合わせると「やっぱり対面はいいな」と思うことが多いですね。

Q.これまでの練習を通して感じてきたことや思い出はありますか?

Mona:歌い方やスキャットなど、表現の仕方が皆本当に上手いので、企画バンドの活動のときから一緒に歌うと楽しいと思っていました。メンバーとはいろいろなことを話せるので、それもすごく楽しくて。
また、このバンドの特徴の一つであるリード回しでは、それぞれのリードパートで個性があり、聴いていてとても楽しいです。

Shun:まだ企画バンドだったころ、新しい曲でも合わせてみると、予想よりもはるか上のレベルまで行けたような感じというか…。ここまで詰められるんだ、と僕はそう思いました。

Choku:基本的に学園祭前は2,3回しか会わないので、楽譜の音を覚えて合わせて「間違えたー」みたいな感じでやるのが普通なんですけど(笑)。
僕らが初めてやったときは、「ここのダイナミクスを上げよう」とか「ここはこういう歌詞だから優しく歌おう」とか、そういう話が自然にできるような雰囲気になっていて。深堀りしていける楽しさがありました。

Mona:あと、ハモネプ収録の前に私がシンガポールに帰省していたので、揃って練習できていませんでした。私が隔離期間を終えた後、時間のないなかで練習するために皆で毎日スタジオに行きましたね。
私は歌の途中でアドリブを入れるのが好きなんですけど、「bad guy」は試行錯誤を繰り返し、完成版が決まったのはハモネプ決勝の2日前でした(笑)。皆と話し合って決め、それもとても楽しかったです。

ー皆さんで1つの曲を突き詰め、一生懸命になっていけるのは素敵ですね。

Lina:Limerickのメンバーは、納得がいくまで追求するタイプの人が多いかもしれないですね。サークルの仲間も、普段から練習方法や声の出し方とかをすごく研究していて色々教えてくれたりするので、無意識のうちに皆で切磋琢磨してやろうという感覚を持っていたかも。

Mona:​​多分、私は洋楽が好きなので熱くなっちゃうんです(笑)。「bad guy」は大好きな「ビリーアイリッシュ」の曲というのもあって、絶対に納得するアレンジをしないと自分に失望すると思いました…(笑)。

ーこだわり抜いた先の演奏、というのが伝わってきます!

バンドの魅力を最大限引き出す、アレンジの裏側

Q.アレンジに施す工夫や意識していることはありますか?

Mona:楽譜は私が書くことが多いですが、バンド内で「ここはもうちょっとこういう風に変えた方がいいかな」と意見をもらって完成版を作っていきます。どうしたらバンドの魅力を最大限魅せられるかを考えていますね。
Chokuは男性ですが高い声が魅力的なので、例えば「good 4 u」の最後のサビに入る前の部分は彼に歌ってほしいと思ってアレンジしました。
Linaの声はユニークで、低めの声も高めの声も綺麗です。特にアルトの音域があるので、それを活かしています。
私はフェイクが好きで、それも意識しながらアレンジをしています。コーラスとベースは私が作った後で、ベースは雰囲気に合わせて動きとかを変えてもらったり、ボイパは雰囲気だけ伝えて本人にお任せしたりしています。

Shun:ボイパに関しては、僕は割とその場の雰囲気で打ち方を変えるタイプです。楽譜の再現度よりもライブ感を大事にしています。
このバンドのアレンジはリズムでがらりと雰囲気を変えるところがあるので、際立たせるように意識しています。

Shin-shin:ベースに関しても、大部分は楽譜通りに歌いますが、所々歌いやすいように変えたりShunさんと相談したりして話しながらより良いものにしていきます。

Limerickの背景にあるそれぞれの「音楽」

Q.これまでに影響を受けてきた音楽はありますか?

Lina:私は小学生の時から「EXILE」の「ATSUSHI」さんが好きで、歌い方は自然に影響を受けているところが多いと思います。
洋楽を聴き始めたのは中学生の頃で、「スティービーワンダー」とか「マイケルジャクソン」とか、いわゆるレジェンドの音楽を聴いて感銘を受けました。アカペラに興味を持ったのは高校生のときに初めて聴いた「PENTATONIX」がきっかけでした。楽器を使っていないことに衝撃を受けました。

Mona:私はシンガポールで生まれ育ったので、小さい頃から洋楽をメインに幅広いジャンルの音楽に親しんできました。
学校ではピアノ専攻だったので「ドビュッシー」や「バッハ」などのクラシックも好きで聴いたり弾いたりしていました。父の影響でジャズも好きで歌う機会もありました。ロックバンドや最近の洋楽(「ビリーアイリッシュ」や「オリヴィアロドリゴ」など)も好きです!

Choku:僕の音楽のルーツというと小学校の合唱隊かな、と思っています。いとこがいる合唱隊の演奏を聴いてハモるの楽しそうだな、気持ちよさそうだなという感覚があり、合唱隊があるという理由で私立の小学校を選びました。ハモる楽しさは合唱で知りましたね。
中学3年生の頃にバンドを組まないかと誘われて、バンドのボーカルをやったことでロックにハマり、自分にはロックのほうが声が合っていると思うようになりました。また、高校で台湾に1年間留学をした際に、欧米から来ている学生が多く、コミュニケーションのきっかけとして洋楽を聴き始めました。

Shun:僕はメンバーに比べて音楽経験は少ないですが、高校での合唱コンクールや文化祭のミュージカルを通して歌うのが楽しいと感じ、憧れるようになりました。
大学で新しいこと始めようと思ったときに、高校時代の歌う楽しさを思い出してアカペラをやってみようと思ったんです。もともとハモネプも見ていたので、大学に入ったらアカペラをやるものだという自分の中でのイメージもありましたね。
また、僕は海外に6年間住んでいたので、ラジオやテレビ、学校で自然と洋楽を聴く機会が多かったです。

Shin-shin:高校時代に合唱部に入っていて、そこで歌うことがとても好きになりました。また、ハモネプを観てアカペラグループ「背徳の薔薇」を好きになった影響でアカペラをやりたいと思うようになり、大学で始めました。
合唱の歌い方も好きで、今やっているベースも楽器のような音より、ちょっと人間味ある声に寄せようとしているところがあります。母音を他のコーラスに寄せて、ベースが独立するのではなく、コーラスの一部であり、一番低い所だという意識で歌っています。

Mona:先程言うの忘れてたんですけど、私もアカペラは「PENTATONIX」の影響でした。

Shin-shin:僕も大学入ってからずっと「PENTATONIX」を聴いていますね。

Mona:みんな「PENTATONIX」好きだよね!

日本へ、世界へ 洋楽の魅力を伝えたい

Q.Limerickの今後の目標を教えてください!

Lina:今回本当に夢のような、これまでに考えられなかった体験をさせていただきました。プロの方の技術を目の前にして圧倒され、自分たちも精進していきたいと思いましたし、また是非やらせていただきたいです。そして、自分たちの音楽の幅もより広げていけたらと思っています。

Mona:日本に来てアカペラサークルに入ったときに、洋楽をやっている人があまりいなく、洋楽について知っている人も少なくて、私はショックでした。洋楽が日本ではあまり知られてないと感じ、それから洋楽中心で活動しています。
今後も洋楽のカバーアルバムを通して、日本で、そして世界中の皆さんに洋楽の魅力を伝えたいという気持ちがあります。

ー素敵ですね!私も、あまり洋楽に馴染みがありませんでしたが、「PENTATONIX」がきっかけで洋楽を知るようになりました。多くの人にとって、Limerickさんがそんな存在になることを祈っています!

Q.最後に、学生アカペラーの皆さんにメッセージをお願いします!

Mona:もちろん学業とアカペラを両立するのは難しいとは思いますが「やってみなければわからないのでやってみよう」というモットーで、とりあえず気になったらやってみてほしいです!

Lina:私たちは同じ大学のメンバーで、いろいろな幸運や出会いが重なって今回、こういう夢のようなことが実現しました。
思うように活動できない中で焦ることもあると思いますが、サークルの仲間と地道に今できることを探して楽しんでもらえたらいいなと思います。私たちもそうやって活動していく中で、思ってもみなかったけどこんな素晴らしいチャンスをいただけたので、学生アカペラ界をもっと盛り上げていけるように精一杯頑張ります。ぜひ応援よろしくお願いします。

Choku:自分自身がどれくらい楽しめるかが重要だと思います。バンドメンバーが皆が楽しめて、頑張れる方向性を軸にしながらやっていくと結果的に上に行ける可能性があると実感しました。
どんどん僕たちも、自分たちの音楽を探しなからいいものを作っていければと思います。

Shun:僕がアカペラを始めるきっかけは、ただ新しいことをやりたいという漠然とした理由で、1年生のときは、ボイパで何の音も出せなかったし、完全な初心者でした。
でも、4年間地道に努力を続けてきた結果このような機会をいただくことができました。最初は無理だと思っても、希望を持って頑張ってほしいです!

Shin-shin:自分もこんな素晴らしい機会をいただけるとは夢にも思っていませんでした。先輩たちとたまたま組んだバンドでハモネプに出て、デビューもできて。アカペラをやっていて良かったと思えました。
今、コロナ禍でなかなか練習もできず、せっかくアカペラサークルに入ったのにリモートでしか活動できていない人も多いと思います。そんな学生アカペラーの皆さんにも、Limerickが明るいニュースを届けられたと思いますし、それが希望になっていれば嬉しいです。


Limerickの皆さん、ありがとうございました。
これからも彼らの活躍から目が離せませんね!!