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気になるおっくんのボイパについて【ハモヒスインタビュー#4 奥村政佳さん】

特集 ハモヒス

2020年10月に発足したアカペラの歴史をまとめるプロジェクト「Harmory-History(略してハモヒス)」ですが、先日、RAG FAIRの元メンバーでありアカペラ内外問わず幅広く活躍されている「ボイパのおっくん」こと奥村政佳さんに記念すべき最初のインタビューをしてきました!
そのインタビューの内容を、全4回に分けてお送りしていきます。

いよいよ最終回第4回の本記事では、皆さん興味深いボイパについてや、ハモヒスへのメッセージをご紹介いたします。

本記事は第3回の記事の続きとなっておりますので、まだお読みでない方はそちらを先にご覧ください。

「ハモネプ」は言わば「アカペラビッグバン」

わく
わく

話は戻る感じになるんですが、ハモネプでまずアカペラっていうのが日本で広がって行って、そこからRAG FAIRとして芸能界でいろいろ活動されてきたと思うんですけど…
ハモネプ前に比べてハモネプ後は日本のアカペラが変わりましたか?

日本のアカペラの歴史の中で一番変わったんちゃう?その瞬間に。

おっくん
おっくん
わく
わく

やっぱりそうなんですね!

いろんなダンスとかカルチャーもそうやけども、やっぱどっかでボンっとなる瞬間があって、知名度というかメジャーというか…

おっくん
おっくん
わく
わく

はい。

まあサッカーのJリーグも一緒やもんね。やっぱJリーグの前と後だとさ、「へー、サッカー部?」みたいなところから一気に世界が広がったのと一緒で…
卓球の福原愛ちゃんが出てくる後と前とはやっぱ卓球のイメージって全然違うやろうし。

おっくん
おっくん
わく
わく

なるほど!

そういう意味ではそこが一番歴史上は変わったんじゃないかなっていう感じ。人口爆発やもん、あそこで。アカペラ人口爆発です。アカペラビッグバン

おっくん
おっくん
SIN
SIN

そうそう(笑)

わく
わく

やっぱりそこからどんどんアカペラサークルとかも増えてきた感じですか?

それまでホンマに陰に隠れてたからね、アカペラっていうのは(笑)

おっくん
おっくん

合唱って言ったらイメージつくけどアカペラっていうと更にイメージもつけへんみたいな。
アカペラやってるって言ってもさちょっとさ、冷静に考えればちょっとさ、変やん。
「アカペラのコンテンポラリーバンドやってました!」っていうならいいけど、「アカペラやってました!」だとさ、ね。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

確かに。

「何やってんの?」って言われたら、「ラケット振ってまーす!」みたいな

おっくん
おっくん
SIN
SIN

素振り(笑)

わく
わく

ジャンルとしてまだ確立していなかったって事ですよね。

全然!もう、全然よ!

おっくん
おっくん
わく
わく

じゃあハモネプが終わってからどんどんアカペラという言葉が浸透してきて。

SIN
SIN

もちろんそうだろうね。

わく
わく

ボイパとかもそうですよね。

俺、商標登録しときゃよかったなって思うもん(笑)

おっくん
おっくん
全員
全員

笑笑

SIN
SIN

日本ではボイパは通じるけど海外では全く通じなくて、ビートボックスっていうのが主流だっていう風に、ヴォーカルパーカッションとかボイスドラムっていうのも世界的にアカペラ界隈でしか聞かないらしいですね。

だからずっと・・・酒井さん(ゴスペラーズ)とかはさ、もうずっと昔からHBBって言ってたよね。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

ヒューマンビートボックス!

そう。もちろん外国人としゃべるときはヒューマンビートボックスプレイヤーっていうもんね。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

そういえば、Lyn(りん)さんも海外行ったらボイパが通じなくてビートボックスって言うんだって初めて知ったって言ってましたね!

メモLyn(りん)
神戸を拠点とする女性アカペラグループのパイオニア『Queen’s Tears Honey』の元メンバー。現在ビートボクサーとして様々なミュージシャンとセッションしている。

でもほんとに、テレビで出たからボイパは広まったけど、それまではいわゆるボイパプレーヤーはおそらく…。当時は、嘉一郎さん、末松君、俺、関東やとそれだけやないか?で、関西・・・Phew Phewはだから。。CHAVOさんおったね!

おっくん
おっくん
メモ北村嘉一郎
早稲田大学アカペラサークルSCS OB。元トライトーン、現在The Idea Of Northや鱧人に所属する世界的VPist。
・末松卓
慶應義塾大学アカペラサークルKOE OB、ハーモウェル講師。Gorilla所属。

ある意味、そういう意味でこれ行けるっていう。。。
そんな深いところまでは見てへんからさ、ほんとに若気の至りやけどさ。
これやったら俺いけるなあって思った記憶があるわ

おっくん
おっくん

研究と試行錯誤を重ね、自分のボイパスタイルを確立していった

Shige
Shige

当時記憶に残ってたのは、ボイスパーカッショニスト中でもおっくんの音って基本のドラムセット以外にもコンガとか多彩な音を表現されてたと思うのですが…ああいった引き出しは、直接楽器の音を聞いて自分の口で出すように練習されたんですか?

そうよ。だからもうよく覚えてる。車でずっと練習してたもん。多分コンガは大学の3年か4年。車に乗りながらいろんな音をやってる時にあ、これ行けるんちゃうかなって。

おっくん
おっくん

車の中で「あ、きたー!」と思ってやってた記憶があるし、おそらくそれは多分世界の奏者の中でも演奏にちゃんと口でコンガ入れたのが俺が初めてだと思う。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

音源では、おっくんのボイパは他の方より多いチャンネル数でレコーディングしてるのかなって思ったりもしました。

基本的に俺の趣向としては、あんまり分けずにどんだけまあ、一本で再現できるかっていうほうが俺は好きよね。だから『I RAG YOU』なんかはそれやと思うんだけども、幾見さんが分けるのが好きやからそこのせめぎ合いというか。

おっくん
おっくん
I RAG YOU (SIN所蔵)

おれは分けたくないし、幾見さんは分けたいしみたいな。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

なるほど。

ただ、今思えばその分けるっていうのをすごく言うてはって俺は特にライブなんかは一本でやってかなあかん中で、バスドラの帯域はかなり下に下がった。だから打ち方は変わったよね。幾見さんに会ってから。

おっくん
おっくん

それまでいわゆるロータム的とハイタム的な差ぐらいだったやつがだんだん自分の中で分離できるようにはなったし、それはなんかすごく言われた記憶はある。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

幾見さんは皆さんに言ってたみたいですね。高低差をつけないとダメだっていう。
音楽として気にしてるみたいで。

幾見さんはやっぱりミュージシャンやからね。アカペラってよりもミュージシャンやから当然な話で。最初はすごくシンバルを分けたりするのも抵抗があったけど…まあまあ、今はね!
普通に分かるよね。

おっくん
おっくん

だから何として考えるかよ。アカペラとして考えるのかJ-POPとして考えるのかっていう所で、多分違ってきてて。だから最初の最初は本当その辺を考え方を変えるのもやっぱりなかなか大変やったし…。
特に『七転び八起き』(RAGFAIRの曲)で楽器が入ったあたりでも、正直頭はまだついていってなかったよね。それで訳わかんなくなって坊主に…。(笑)

おっくん
おっくん
七転び八起き (SIN所蔵)
SIN
SIN

あはははは(笑)

SIN
SIN

途中から楽器が入ったり、まあアカペラにもちゃんと戻ってきたりとかしながらこのモチベーションとかってどう思ってたんだろうなって…。

だから、『七転び八起き』のソロは…。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

ジェフ(Rocakpella)みたいな感じ。

メモJeff Thacher(ジェフ サッチャー)
アメリカのアカペラグループRockapellaのメンバー。Vocal Percussion担当。プロデューサーやエンジニアとしても活動する。喉にマイクを使用した世界で初めてのVocal Percussionist。ドラム音の間に声を混ぜる独特の表現も魅力である。

そうそうそう、まさにジェフ。まあ、そうせざるを得ないわけやん。だからそれまではドラムに似せるっていうことがミッションだったけれど。
今度は人間がやってるってことを表現することがミッションになってくるわけで。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

それすごい感じました。

あとはジェフが気が狂っって打ったらどんな感じかなぐらい(笑)
俺もヤケクソやからあのへん(笑)

おっくん
おっくん
全員
全員

笑笑

まああの特にね。ドラムに似れば似るほどドラムでええやんっていうジレンマ?

おっくん
おっくん
SIN
SIN

ハイハイ!分かります。

ライブではいいけど、CDは・・なんやねん、みたいなね。ところで言うとそういう風なアプローチもあるのかなっていう。

おっくん
おっくん

で、話を戻すと、、、音色は出来るだけチャンネルを分けないように。例えばバスドラとスネアとハイハットが同時に出るように何となくアプローチを工夫したりとか。

おっくん
おっくん
shige
shige

うんうん。

例えば『恋のマイレージ』のサーフの部分ね、あーいう打ち方をする人はいなかったはずで。その辺はそういう音楽を作っていく中のせめぎ合いで、じゃあ、これは、あれはみたいな感じでやってたと思う。

おっくん
おっくん

で、ライブのさあ、『DVDラグフェアーツアー2003』でボイパソロやってるやつ。

おっくん
おっくん
RAG FAIR TOUR 2003 1『Live “RAG F”』(SIN 所蔵)

dolphin(ドルフィン)でしょうか?

そうそうそうそう。あれとか、マイク7本使ってるけどあれもパフォーマンス半分で。だからあの辺音響チームともどうやって音を拾っていくか、LOWを出していくかっていうのはすごく試行錯誤して

おっくん
おっくん

特に初期のライブは確かね、ここにマイクを一個仕込んでいるはず。マフラーの下に。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

本当にジェフですねw

そう。ピックアップマイクを仕込んでやってみたりしたけどなんかあんまりいい結果出なかった気がする。雑音というかガサガサさ。

おっくん
おっくん

で、そのうち無声と有声のいいとこ取りをするよね。何しろ生音がでかく出てたっていうのは初期のレコーディングやライブパフォーマンスにはいい影響やったよ。
だってむりやり拾わんでええねんもん。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

ほー!!

出てる音を大きくするっていう作業だから。
声と一緒のアプローチでね。専属のPAおらんかったからね。最初はさ。

おっくん
おっくん
わく
わく

そうなんですね。

まあ、もちろん大きいツアーにはいるよ。
でも、PAはいつも同じ人連れて歩いてますみたいな感じはなかったから、RAGって。

おっくん
おっくん

ちなみにさ。多分俺、音の割には飛沫は少ないと思うよ。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

あっ!以前ROTTでお会いした時にティッシュを口の前に置いて…

やったか(笑)

おっくん
おっくん
Shige
Shige

とにかく音量がすごかったです(笑)

SIN
SIN

これって、空気を出さずに口の中で成立させてるってことですよね。

多分そう。だから効率は良くなるよね。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

嘉一郎さんも言ってたやつだな。嘉一郎さんも特徴的な出し方ですけど、本当に生で聞いても音が大きいんですよね。で、やっぱり自分の口の効率を良くする為、どれだけ疲れず音もでかくするようにっていうのをすごい研究したみたいですね!

単純に疲れるもんね。プロとして。3時間半もライブやっててさ。5分やって疲れてたら持てへんで。

おっくん
おっくん
全員
全員

笑笑

Shige
Shige

一つ質問があるんですけど、当時おっくんは音色を研究されていたと今お話をお伺いしましたけれども、何かトレーニングしたり、ボイトレを受けたりされていたんでしょうか?

ボイトレはメンバーが受けるから一緒に受けとったけど、まあ、へたくそやったよな(笑)
音感はあるけど発声としては全く違うというか、腹筋は使うねんけども瞬間の腹筋とかさ。

おっくん
おっくん

ボイパって全く違うやんか。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

肺活量とか凄くいるかなとは思いますが…

どうなんだろうね。おそらく嘉一郎さんの理論で言うとスペック的には、じゃあそんなに馬力はいるのかっていうとおそらくそうじゃなくてどう使うか…

おっくん
おっくん

だからイチローと同じやで。イチローも筋トレせえへんやんか。イチロー…筋トレ…(検索中…)

おっくん
おっくん
わく
わく

あーホントですね!ウェイトトレーニングを一切やめたって書いてあります。

もちろん、何もない状態からある適度やるためにはそういうことが必要やけど、まあ、多分デビューするまでに4年すでにボイパやってるわけで。素人としてはかなりやってるはずだから、そっからじゃあ改めてっていうのはそんなに必要なかったかもしれないのかな。

おっくん
おっくん

作るべき筋肉はおそらくもうついていて…

おっくん
おっくん
わく
わく

一定数鍛えた後はもうその中でいかに効率よく能力を発揮できるかっていことですよね!

そう!だろうけど意識はせえへんよね。意識するとしたら、屋外のステージで向かい風やわー、冬はめっちゃ乾くわー、いややわー、どうしようーみたいな。
その辺は場数の話になってくるよね。どうリカバリーするかね。

おっくん
おっくん
わく
わく

そうなんですね!

一方で、ドラムのフレーズで1回だけさ、ボイパやってたらドラム習いに行った方がええやろって話にデビュー当時になって。ドラムしながらボイパ出来たらかっこいいんちゃうとか、

おっくん
おっくん

いろんなさ、ネクスト展開を自分でというよりも事務所のマネージャーとかにそそのかされて。ドラム一回でやめたもんね。なんで口で出来るのに棒使ってやらなあかんねんっと思って(笑)

おっくん
おっくん
わく
わく

笑笑

「ストレスたまるわー」とか思ったりしたけど。まあまあそのいわゆるドラムの本とかにあるような、奏法というか、あ、こーやってやってんねんなとかってね。
確かに表情が付くというか。

おっくん
おっくん

逆に言うとさっきのそのジレンマに行きつくわけで。

おっくん
おっくん
わく
わく

あーはい。声らしさを残すというか。

ドラムと同じことをやってもドラムは超えないからね

おっくん
おっくん
わく
わく

なるほど!

やってみるのはもちろんね、いいけれども。
じゃあ、それを目指してもしょうがないっていうのはあったりする。

おっくん
おっくん

無声ボイパは「マジックペン」、有声ボイパは「水彩絵の具」

有声のボイパがいいなと思うのは、特に無声と違って空間を埋めれるからいいよね。他のメンバーが息継ぎしている時とか、、、なんていうかな。声の帯域じゃないところ出せたりするわけだし。
数kHzっていうシャカシャカシャカシャカとか、下は数10Hzとか人間の声じゃなくて重低音も出せるわけやし。

おっくん
おっくん
わく
わく

へー!

例えばベースの息継ぎしている間もボイパは基本的には鳴っているし、そういう意味ではアカペラの弱点のところを補えるパートではあるし。
それが有声だと更にサウンドとしてはプラスに寄与する部分が大きいのかなという気はするかな。

おっくん
おっくん
わく
わく

僕ボイスパーカッションやってないので詳しくないんですけど、やっぱり違うものなんですか?
役割というか、こういう時は有声のほうがいいとか無声のほうがいいとかっていうのってあるんですか?

これ極論かもしれへんけど、無声がマジックやったら有声は水彩絵の具やと思う。

おっくん
おっくん
SIN
SIN

なるほど!

これちょっと名言出たで!

おっくん
おっくん
全員
全員

笑笑

例えば線書いてもさ、マジックの線の書き方と水彩絵の具ってさ、水彩絵の具は太さも色の薄さも混ぜることも結構出来るけどマジックってやっぱりなかなか…。

おっくん
おっくん

はっきりは書けるよ!はっきり書けるし、メリハリはあるし、遠くから見えたりもするかもしれんけど、まあ、有声は自由度はあるのかなあという気はするかな。

おっくん
おっくん

淡いというか。色も変えられて。

そう。いろんなアプローチができるかな。可能性の幅が広いと思う。

おっくん
おっくん

すごい勉強になります。

知らんで。俺が言ってるだけやからな。(笑)

おっくん
おっくん
Shige
Shige

水性マジックのにじむ感じが、他の音になじんで寄り添っていく感じの音作りということで!

そんなこと言ってると油絵具も!とかいろんな事言ってくるやついそうだけど(笑)
しらんがな!みたいな(笑)

おっくん
おっくん

「運命のいたずらの答え合わせ」をしてみたい

わく
わく

最後に記事の締めとして、このハモヒス・・ハーモリーヒストリー・・歴史をまとめるという活動について何か一言いただけたら嬉しいです。

そりゃあもう、子供や孫に見せられるからうれしいよね。自分が毎回毎回しゃべらんでも。。。

おっくん
おっくん
わく
わく

たしかに!

なかなかこれをしっかりやろうって人って、カルチャーとしてね。そういう意味ではこういうヒストリーが完成していくとブームとか流行りっていうのからカルチャーに昇格していくのかなっていう感じがするよね。

おっくん
おっくん
わく
わく

ブームからカルチャー..!

だからすごく楽しみですよ。自分自身が知ってることがいろいろ出てくる中で改めて読み返すと逆に自分が知らないこともあったんだろうし。運命のいたずらみたいなのがいっぱいあるんやろうね。そう、だからその辺の答え合わせができるようで。当事者としてはさ。

おっくん
おっくん
Shige
Shige

すごく良い話ですね。運命的な出会いの答え合わせ。

それをまた後輩がやってるっていうね。

おっくん
おっくん
わく
わく

ありがとうございます!

最後に

今回は、奥村さんのボイパについて色々お話しを伺うことができました。

奥村さんの記事は今回で最後となります。お忙しい中ご協力大変ありがとうございました。

これからの様々なジャンルへの躍進とご活躍を心より応援しております。

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