野口大志さんに聞く!アカペラPAなんでもQ&A!【リハーサル編】

野口大志さんに聞く!アカペラPAなんでもQ&A!【リハーサル編】

本記事はアカペラ総合メディア「ハモニポン」の閉鎖に伴い、AJP編集部に移管された記事です。一部表示が乱れておりますがあらかじめご了承ください。

こんにちは、Jぺいです!

ハモネプ第2回王者であり、現在はライブPAとしてもアカペラに関わる野口大志さんのインタビューシリーズ。

ここからは「アカペラのPAに関するQ&Aシリーズ」に突入です!

今回は『ライブハウスでのリハーサル編』!

・リハーサルって実際何をしたら正解なの…
・知識に自信がなくて思ったことを言いづらい…
・ぶっちゃけフィーリングでPAさんと会話してる…

「自分のことや!」とどきっとした全国のアカペラーのみんな!超勉強になる&明日のライブから実践できることばかりだから絶対に読んでくれえ~!

アカペラPAなんでもQ&A〈リハーサル編〉

みなさんから集まったこのような質問に答えていただきました♪

  1. リハーサルの大切さ
  2. リハ―サルって、何をしたら良いんですか?
  3. PAさんには何を伝えたらいいですか?
  4. リハーサルの時間が短い時に優先してやるべきことは何ですか?
  5. リハーサルがないライブで、PAさんに伝えておくべきことってありますか?
  6. リハーサルをスムーズに行うためにはどうしたらいいですか?
  7. ボイパがマイクを囲うのってどう思いますか?
  8. マイマイクってどう思いますか?
  9. リハーサルでPAさんに偉そうに指図してるバンドがいてちょっと悲しくなりました…

どれも答えがきになるような質問ばかりでしょ?

リハーサルの大切さ

ど直球だね。
演者のみんなももちろんそうだと思うけど、
僕らPAにとっても、リハーサルは超大切です。

特にアカペラのライブは、マイクを6本使うという時点で他のライブと比べてハウリングしやすい特殊な環境にあるし、実はアカペラのライブに慣れていないPAさんってかなり多いのね…

だからこちら側も、リハーサルでしっかりと準備を整えておきたいんだ。

でもみんなの中には、リハーサルをパフォーマンスの練習の場とだけ捉えている人も多いんじゃないかな。僕らもできるだけ良いサポートをして、良いライブをつくりたいと思っているから、

自分たちだけでなく、PAのリハーサルでもある、という目線も持って臨んでくれるととてもありがたいです。

Q.リハ―サルって、何をしたら良いんですか?

まずは、ステージ上でみなさんがいつも通りに歌ってください。

リハでステージから降りて外音(メインスピーカーの音)を聞くという人は多いですが、外音は極端な話、お客さんが入る前と後やその時の環境によって全く変わってくるものです。

PAとしては、「本番中は中音(モニタースピーカーの音)を聞きながら歌うのに、みんな揃って確認しておかなくていいのかな?」と少し不安になります。

本番中に中音を聞くことができるのは演者のみなさんだけなので、中音の調整というのはリハでしか行えないのです。そのため、演者のみなさんには外音よりも中音にこだわってリハを行ってもらいたいですね。

気になるとは思うのですが、ある程度外音に関してはPAを信じて任せてください!

そして、「いつも通りに歌う」ということも大切です。

マイクを通したからといって声を小さくするのではなく、生声で練習しているときと同じように歌う意識を持ってみてください。(極論、生声で歌ったときの一番良いバランスのままマイクに通せば良いのですから!)

Q.PAさんには何を伝えたらいいですか?

中音を聞いてそれぞれが思ったことを、バンド内で意見し合って、そのうえで出た問題点をまとめてPAに伝えてください。

これはなぜかというと、

例えば、「自分の音量が小さい」と思った人が、「音量を上げてほしい」ということを個人的にPAに伝えると、相対的に他のメンバーの音量が小さくなるので、「自分の音量も上げてほしい」となり、結果的に全体の音量がかなり大きくなってしまうということがあるためです。

曲調やジャンルなど場合によって、自分の音量を上げるべきか、周りを下げるべきかは変わってくるはずです。
歌ってみて出てきた問題点はいちどバンドに意見を通して、ほんの少しの時間で良いので、個人ではなくバンドとしてどうするべきか考え、まとめてPAに伝えると良いと思います。

Q.リハーサルの時間が短い時に優先してやるべきことは何ですか?

音響目線で言うと、一番大きな声を出す曲と、一番小さな声を出す曲をそれぞれ歌うことですかね。

短いリハの時には、細かい調整をやっていくことが難しいです。

なのでやみくもにただ歌うのではなく、一番大きく声を出すポイント、逆に一番小さく声を出すポイントを確認できたら良いと思います。

そうしたら他の部分をどう歌ったら良いかもなんとなく分かりますよね。

Q.リハーサルがないライブで、PAさんに伝えておくべきことってありますか?

誰がリードなのかだけでも伝えておいてもらえると助かります。

リハのないライブでは、今演奏している曲のバランスをリアルタイムで整えていく、という作業になるので、物凄い手数をかけています。(笑)

とりあえずリードが誰なのかを探ることから始まるので、それだけでも事前に分かっていたらとてもやりやすいです。特にリードが回る場合、Aメロで何番、Bメロで何番と、細かくセットリストの用紙に書いてもらえるとありがたいですね。

Q.リハーサルをスムーズに行うためにはどうしたらいいですか?

普段の練習から、音量バランスを意識することを心がけましょう。

リハーサルは、音響の違和感だったりをPAとすり合わせていく場です。

ベストな音量バランスや響きを身に染み込ませ覚えておけば、その時々の音響の違和感に気付きやすくなりますし、それができればどこのライブハウスに行っても良いライブをすることができます。

そのためにも、普段生声で練習するときから、ハモることだけでなく、音量バランスまで考えて歌うことを習慣にしましょう。

実際上手なバンドは、生声で歌ったときにも音量バランスが良いものです。

今はスマホで簡単に録音出来るので、こまめに録音して聴き返す練習は、客観的に聴けていいですよね

その上で、サークル機材やリハーサルスタジオを利用した練習もするとバッチリですね。

Q.ボイパがマイクを囲うのってどう思いますか?


ジャンルによってはありだと思います。
ただ、囲うならばそれなりの声量は入れてください。

昔はアンチ囲みマイクだったのですが… ジャンルによってはありだなと思うようになりました。でもあくまでも演奏方法、表現方法のひとつという感じですかね。

それがその楽曲とバンドに合ったものなのかはいちど考えるべきだとは思います。ひとりよがりに技術を披露するのではなく、バンドの一部であることは忘れないでくださいね…

そして、意外かもしれないですがマイクを囲ったからといって小さく出していいわけではないのです、それなりの声量は入れてください。

囲うということは、つまりハウリングがしやすくなるので、マイクの音量を下げることになるんです。

その状態でも聞こえるくらい音を出せるようになってください。(それでもっと音量を上げてほしいと言われても、ハウってしまうので結構どうしようもなかったりします…頑張りますが…)

マイクを囲むのは、音量ではなく音圧のためと考えてください。

Qマイマイクってどう思いますか?

こだわりがあるのは良いことだと思いますが、マイマイクだとその分調整に時間がかかってしまうので…

リハの時間が短いときや、リハが無いときには、ライブハウスのものを使ったほうが良いと思います。

Q.リハーサルでPAさんに偉そうに指図してるバンドがいてちょっと悲しくなりました…

率直な感想ですね。(笑)

PA側として答えると、ご意見ご要望は全然言ってもらって構わないんです、本当に。

むしろ良いものをつくるためには、言ってもらわないと改善できないので、言ってください…!(笑)

でもまあこれは、言い方の問題ですよね。
それが全てだと思います…

演者とスタッフ、どちらが上か下かということはないですが、ただあくまでも人対人であるので、言い方ひとつにしろ、お互いよく気をつけないといけないですよね…
そういう些細なことが、良いライブをつくりあげる上での最たる要因だと僕は思います。

ひとつ言えるのは、
自分が普段接しているミュージシャンの方、アカペラ関係なく一流で活躍されてる方は、どんなに年上の方でも、周りに対してものすごく謙虚というのは僕の中の事実です。


ということで全編の『リハーサル編』は以上となります!みなさん自分の過去を振り返ってドキッとしてしまうようなこともあれば、これからのライブではこうしよう!って思えたこともきっとあるのではないでしょうか?

次回は『サークルの音響編』をお送り致します。乞うご期待!・野口大志
高校時代にアカペラグループ「レプリカ」のベースヴォーカルとして活動し、2001年フジテレビ系番組「力の限りゴーゴゴー!!」内『第2回全国ハモネプLEAGUE』にて優勝。現在はPAエンジニアとして、都内ライブハウスや、アカペライベント『JAM』『50Fes』、多くの大学アカペラサークルライブ等のPAを担当。『A cappella Spirits! DVD』のサウンドミキシングも務める。また、作曲家として前田敦子やBitter & Sweetといったアーティストの楽曲や、テレビ東京系「ゆうがたサテライト」のテーマ曲等、幅広い楽曲提供を行なっている。

Jぺい(インタビュアー)
2010年に駒澤大学鳴声刺心でアカペラを初めて以来、その魅力にハマりV系アカペラグループ「背徳の薔薇」やエンタメ集団「ジャスティンヒーハー」で大活躍。新しいことへのチャレンジに対する欲求が変態レベル。
たいらく(書き起こし)
Jぺいの後輩。ライター志望。行動力の塊。

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