こんにちは!AJP編集部のわくです。
アカペラの歴史をまとめるプロジェクト「Harmory-History(略してハモヒス)」。
これまでプロの演者さんやイベンターさんにそれぞれの「アカペラ人生」をお伺いしてきましたが、今回から新しい企画が加わります!
全国に300以上あると言われるアカペラサークル。アカペラ黎明期からある老舗サークルにも、ハモネプブームから誕生した新興サークルにもそれぞれ歴史があり、培ってきた個性や文化があるはずです。
でも、普段私たちがアカペラしていて「自分が所属してないサークルのこと」「アカペラしていない時代のこと」ってあまり知らないし、知る機会もなかなかないかも…?!
そんな疑問がハモヒスメンバーの中で生まれ、「1つのサークルの様々な代の方をお招きして”サークル史”を聞いてみたい!」ということで企画が立ち上がりました。
題して..
「サークル史紀行(聞こう)」
第1回は、ハモネプで優勝した「夜にワルツ」や「たむらまろ」などが所属していた横浜国立大学アカペラサークルStairways(通称ステア)のOBOGのみなさんをお呼びし、サークルの誕生から今に至るまでのエピソードや変遷をお聞きしてきました!
目次
ゲストの紹介
16期 おくりょうすけ さん
Stairwaysに2018年より4年間所属し、サークルライブのプロデューサーや新歓隊長などを務める。
2022年現在は、「結」(むすび)というバンドでアカペラ活動をしている。YouTubeチャンネル
10期 阿部 さん
Stairwaysに2012年より4年間所属し、新歓隊や合宿係長を務める。
「たむらまろ」のメンバーとしてJAM2015優勝を経験し、2022年現在もアカペラ活動を続けている。Twitter
7期 今野大希(こんてぃ) さん
Stairwaysに2009年より4年間所属し、「vocal booster」や「DICE!!」などのグループでJAMやハモネプに出場。サークルの代表も務める。
2022年現在はマスコーラスグループ「Be Choir」の副代表を務めており、「紅白歌合戦」、「Mステ」、「芸能人格付けチェック」などに出演する。
1期 上岡 さん
2003年のアカペラサークルStairways立ち上げに携わり、「stairpedia」の運営や記録担当として2022年現在もサークル活動に顔を出している。
また、YouTubeチャンネル「singers.jp」の運営やアカペラグループ「ハブドーム」でのアカペラ活動を行っている。
インタビュアーの紹介
サークルの2022年現在の状況
大型バスを3台貸し切るサークル合宿
本日はよろしくお願いいたします!
早速ですが、サークルの現在の活動について教えていただいてもよろしいでしょうか。
ライブは1年に4回行っており、ウインターライブは大きな会場でやっています。
合宿は2年前から新型コロナウイルスの影響でできていないんですけど、普段は新歓合宿と、夏合宿を行っています。
新歓合宿は基本的に交流がメインで富士急に行ったりと、あまり歌わない合宿ですね。
自分の時も同じような感じだったので、そこはあまり変わっていないですね。
人数はどんな感じですか?
今は、4学年合わせて150人ぐらいです。
各学年3,40人くらいなんですね!
合宿は100人くらいで、大型バス3台を貸し切って行くイメージです。
3台はすごいですね!
他大の人も居るインカレサークル
サークルのメンバーは基本的に横浜国立大学の人達ですか
横国大だけではないです。フェリス、鎌倉女子、東洋英和など神奈川の大学だけでなく、最近は慶応や法政など幅広く来てくれています。
色んなところから集まっているんですね!昔からインカレサークルだったんですか?
Stairwaysが立ち上がった時点で私はすでに社会人でしたし、2期に東工大の人がいたり、最初から他大の人がいるのが普通でした。
そうなんですね、ありがとうございます!
コロナ禍に入ってからは対面の活動がなかなか満足にできないような状況だと思いますが、何かされていましたか?
コロナ禍に入ってすぐは何もできなかったんですけど、自分の次の代がYouTubeライブをやっていました。
あと、新歓は結構力を入れてくれて、ZIP!(テレビ番組)でもコロナ禍の新歓ということでStairwaysが取り上げられましたね。
最近は、ハモネプで「夜にワルツ」が優勝したこともあり、横国大の入学式で「夜にワルツ」が歌ったりもしました。
サークルライブの歴史
初めてのサークルライブは2008年
先ほどStairwaysでは年4回ライブを行っているとお聞きしましたが、サークルライブはいつから開催されているんですか?
サークルライブは4期の橘(JAM2008プロデューサー)が4年の時に始めました。彼はもともとイベンターとして活動していたり、Stairwaysの活動を積極的に外に発信していきたいという想いがあったみたいで、横浜ムービルにあった劇場で初めて開催しました。それが2008年ですね。その時はこじんまりとしていましたが、テーマ曲も作りました。
その後、翌年の2009年からは客席数が250くらいの規模の会場で3年間くらいやりましたね。
受け継がれる全体曲
そのあと、自分の代の時に会場を変えて規模を大きくしました。とはいえ、質重視で参加バンドの数は少し減らしましたね。その代わりに全体曲がありました。僕の時はライブのテーマの「your song」に対応させて「my song」というのを作りました。
その曲、実は今でも歌われています!毎年4年生の代表するバンドがこの曲を歌って卒業するっていう文化があって、14期まで続きましたね。自分も先輩の卒業の時に先輩と一緒に歌いました。
えー!それはめちゃくちゃうれしい!
作った曲が代々受け継がれているのは嬉しいですね!
サークル誕生秘話
初めは1つのアカペラバンドから
少し話は変わりますが、上岡さんはサークルの立ち上げから関わっていらっしゃるということで、Stairwaysの立ち上げについてお聞きしてもいいですか?
私自身は千葉大学出身だったんですけど、学生時代はアカペラに興味がある友人を集めて有志で大学祭に出るなどしていました。その後就職した先が鎌倉で、アカペラのメンバーを探そうと思ってacappella.co.jpをみたら、ちょうど横浜で練習しようという募集がありまして。
そこで、横国大の1,2年と社会人の私でバンドを組んで、それがそのままサークルになったといった感じです。
名前の由来はとある「坂」
「Stairways」というサークル名の由来は「和田坂」でしたよね。
横国大の最寄り駅は相鉄線の「和田町」なんですけど、大学に行くにはそこから20分くらい山登りしなきゃいけないんです(笑)。それが「和田坂」と呼ばれていて、ずーっと階段が続くんですけど、その「階段」から「Stairways」になったと聞きました。
なるほど!
横国大の他のサークルも同じ名称つけてても良さそうだけど、Stairwaysだけだよね(笑)。
そうですね。で、OB会は「Escalators(エスカレーターズ)」といいます。
そうそう!それも良いですよね(笑)。
僕、名前の由来が「和田坂」だったこと初めて知りました!
ほんとに!?それは知ってると思ってた!
今知ってる人いないかもしれないです。
それはやばい!(笑)
クイズとかにして受け継いでおいてね!(笑)
サークルの特徴
それぞれがやりたいように出来る環境
Stairwaysは多くのアカペラグループがハモネプやJAMなどサークル外のイベントに出演している印象があるのですが、初期の頃からサークル外のイベントに参加するような風潮はありましたか?
そこに関しても、さっき名前が出た4期の橘が意識を変えましたね。彼が兼サーしていた東大のサークルがわりと外に発信していたこともあり、橘自ら外に出て行くためのバンドを作って活動していました。
ただ、立ち上げすぐの1期の頃はメンバーが10人ぐらいしかいなくてサークルライブをやろうとしてもできなかったので、4期になってサークル全体の実力が向上して規模も大きくなっていたからこそ、外向けの活動が展開できたんだと思います。
確かに、人数が多いほどそれだけ外部に出たい人も増えますからね。
ただ、サークルへの関わり方に「~ねばならぬ」というのは全くなくて、外向きでも内向きでも、それぞれがやりたいようにできる環境になっているということは強調したいです。代によっても傾向の違いがありますし。
それも、人数が多いからこそ多様な活動ができるという部分があるのでしょうか?
そうですね。
それで言うと私たち10期は外に出たいという人は少なくて、サークルライブがゴールという感じでしたね。
でも加藤ぬ。君は「それだけじゃない」という想いを悶々と抱いていて(笑)。当時の彼にとっては「外に出る」ということがやりにくかったかもしれません。
周りに外に出たい人が少なかったからこそのやりにくさですね。
そんな中で「たむらまろ」は、彼が「僕が全部責任を負うからついてきてくれ。それで結果が出て、続けたくなってくれればそれでいい」ということで。本当にその通りになって、JAMや台湾ライブとかに出たりするうちにメンバーが動画編集やミックスとかも積極的に協力するようにもなって。
それがすごいよね。動画見るたびに、役割分担が1人に偏ってないなって思うんですよ。
ハモネプの力もかなり大きいと思うんですけど、認められて、聴いてもらえて、聴きたいと思ってくれる人がいるから続けられるし、自分も何か協力したいと思えるという、良いループができたんだと思います。
バンドって1人でもある程度動かせるんだけど、それだと不公平感が出るし「ある程度」以上に行かないから、しっかり役割分担できるとさらに一皮むけるよね。
そうですね。それと、「多様な人が同じグループにいる」というのがすごく大事だと思います。横国大が総合大学だからというのもあるかもしれないんですが、いろんな方向から考えられる、苦手を補い合える、そういうメンバーが集まることで充実した活動ができると思うんですよね。
そうですよね。そういったものがバンドの強みにもなり、サークルにとっても良いことですよね!
OBOGが考えるStairwaysの良さ
先ほど「多様な活動ができる」という点がStairwaysの良さだというお話をお聞きしましたが、ぜひ、みなさんが思うStairwaysの良さをそれぞれ教えていただきたいです!
僕は「先輩の優しさ」だと思います。先輩の優しさの積み重ねで、雰囲気の良いサークルが作られてきた思うし、今後もより良くなっていくんじゃないかと思います!
アカペラサークルって、合唱部のような「真面目で、過度なおふざけはしない集団」的な雰囲気をちょっと受け継いでるところがあると思うんですが、Staiwaysはわりとそのど真ん中な感じで、みんな仲が良いし、あまりお酒で騒いだりとかしないので、そういう雰囲気にフィットできる人にとってはとても満足いく活動ができるのが良いところだと思います。
合唱をやってた人でも、カラオケが好きな人でもできるのがアカペラの良いところだと思うんですけど、社会人になってからアカペラ仲間を集めようと思っても難しいんですよね。年齢や住む場所が近い子たちが集まっている「大学」という場所であれば、1つのコンセプトで一生続くかもしれない仲間ができるというのが良いところかなと思います。
横国大って、僕を含めて「大学受験で、自分より頭の良い人がたくさんいるという世界の広さを知った」という経験をして入ってきた人が多くて、だからこその「寛容さ」が大学の風土としてあると思うんですね。だからStairwaysも、「夜にワルツ」のようにどんどん外に出て行きたい人も、逆にサークルの中だけで楽しみたい人も、お互いに認め合って過ごせるし、それぞれが自分のペースでやりたいことをできるところが良さだと思います。
ありがとうございます!
現役のサークルメンバーにメッセージ
伝統を足かせにせず、好きにやってほしい
最後に、皆さんがStairwaysの後輩に伝えたいメッセージを頂けますか?
伝統を足かせにしないでほしい。
同じこと言おうと思った。(笑)
私も「好きにやれ!」って言おうと。(笑)
例えばサークルライブが評価を受けているからといって、「毎年やらねばならぬ」というのは間違いで。何か新しいことをしたい時に邪魔になるような伝統なら、全然やめていいと思う。始める勇気も、やめる勇気も大事だよね。
そうですよね。サークルって現役生のものなので、今の現役が楽しみたいようにやれば良いし、ルールも変えていいと思います!
そもそもコロナ禍でなくなってしまった文化もたくさんあって、17期の子から「16期がいなくなったらサークル文化が終わるんじゃないか」みたいなことをよく言われるんですけど、そんなことは全くなくて。
「むしろこれから新しく、良いものを作っていってくれれば僕は何も求めないよ」とよく後輩には言っているので、自分もお三方と同じ想いですね。
ありがとうございます!
伝統にとらわれることなくどんどんアップデートしていくからこそ、サークルが繫栄していくという、とても素敵なメッセージだと感じました。
今日は長い時間本当にありがとうございました!
おわりに
サークル概要
横浜国立大学を拠点とするインカレアカペラサークル
サークル名 | Stairways |
設立年 | 2003年 |
ホームページ | – |
各種SNS |
編集後記
今回記事執筆を担当させて頂きました。インタビューには同席していなかったのですが、議事録を読んでいても、ライブへの情熱やサークル愛、そして世代を超えて認め合う雰囲気がすごく伝わってきました。貴重なお話をありがとうございました!
インタビュー当日議事録を担当させていただきました。4人の皆さんは世代が違うのに、本当に自然に話をやり取りしていて、こういったところがステアのいいところなんだろうな、とずっと思いながらメモを取っていました。素晴らしいお話ありがとうございました。
寛容さや多様性などサークルの雰囲気の良さを強く感じました。インタビューを受けてくださった4名は世代が全く違うのに、そんなことを忘れてしまうほど自然に会話されていました。伝統を足かせにせず常に挑戦し続けるステアの今後に期待です!
インタビューや記事執筆を担当させていただきました。ステアの歴史だけでなく、サークル員の寛容さや縦のつながりの深さなど、サークルの魅力が強く伝わってくるインタビューでした。取材にご協力いただいたステアのみなさん、ありがとうございました!
ハモヒスへの協力依頼
ハモヒスでは現在、
・情報を提供してくださる方
・記事を書いてくださる方
など、プロジェクトに協力してくださる方を募集しております。
この記事を読んでこのプロジェクトに興味を持っていただけた方が居られましたら、私たちに協力していただけないでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
協力してくださる方はこちらまで↓
協力者募集フォーム